ケアマネジャーはお金の相談も受ける?利用者家族と円滑に付き合うコツ

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ケアマネージャーは、お金の専門家ではありません。

しかし、実際の現場では、お金の相談を受ける機会も多いのが、ケアマネージャーの仕事です。利用者やその家族は、介護費用の捻出で悩んでいるケースが多いからです。

お金と介護の問題は、切り離せない関係にあるといえるでしょう。
介護費用で困らないための対策が案内できると、ケアマネージャーとしてワンランク上の仕事ができます。

この記事では、相談業務をするに当たって、ケアマネージャーが身に付けておいたほうがよい知識を紹介しています。

目次

ケアマネージャーの役割

笑顔

ケアマネジャーは介護の専門職であり、正式名称は「介護支援専門員」です。

ケアマネージャーの一般的な役割は、次の通りです。

  • ケアプランの作成
  • 介護給付費の管理
  • 介護事業者と利用者の橋渡し
  • 退院の手助け
  • 入院先の病院との連携・情報交換
  • 要介護認定の申請代行
  • 利用者および関係者との相談業務

利用者からすると、ケアマネージャーの仕事内容の範囲は、分かりにくいかもしれません。
ケースバイケースの部分もあり、どれがケアマネージャーの仕事で、どれが仕事でないかの判断は難しい側面もあります。

業務の流れの中で、利用者あるいはその家族から、お金の相談を受けることはあるでしょう。

ケアマネージャーへの相談内容でよくあるもの

歓談

ケアマネージャーの相談で、よくあるものをまとめました。

日々の困りごとについて

ケアマネージャーは、利用者にとって相談相手のような役割も果たします。
特に身寄りのない高齢者の場合は、ケアマネージャーが数少ない相談相手である可能性もあります。

仕事を通して、人としての距離が近くなれば、利用者から日々の悩みや困りごとを相談されることもあるでしょう。

また、高齢者はITやインターネット関連のサービスに疎い人も多くいます。スマートフォンの使い方やネットショッピングのやり方など、ちょっとした内容であっても、頼りにされる機会は多いでしょう。

役場での手続き方法について

ケアマネージャーは、役所での手続き関係について、相談される機会もあるようです。

介護保険の更新や要介護認定の申請など、介護関係の手続きは、役所を通す内容も多く見られます。実際、ケアマネージャーは、本人に代わって介護保険の更新や要介護認定を申請する業務も担っています。

たびたび介護関係の手続きをしてくれる機会があるため、利用者もおのずとケアマネージャーに行政の手続きを相談するようになるのかもしれません。

とはいえ、中には行政とはまったく関係のない手続きの相談をされる機会もあるようです。利用者宛に届く手紙の中には、行政を装った詐欺的な内容も含まれるため、ケアマネージャーは後見人的な役割も果たすといえます。

利用者本人の体調について

ケアマネージャーは、本人の体調について相談を受ける機会も多くあります。

実際、ケアマネージャーは、利用者の入院先やかかりつけの医師と連絡を取る場面もあるため、ケアマネージャーに体調の相談をするのは、自然な行動といえるのではないでしょうか。

利用者としても、体調の相談をケアマネージャーにすることは大切です。ケアマネージャーに体調を伝えておけば、ケアマネージャーとしても、より適切に病院に状況を伝えられるようになります。

相続やお金のことについて

ケアマネージャーは、相続やお金の相談も受けます。
利用者は高齢であるため、相続の相談を受ける場合も多いようです。

ケアマネージャーは、相続の専門家ではありませんが、後見人と協力して相続関係の手続きを進める場面はあります。

後見人は高齢者の財産を管理する役割を果たす人のことで、弁護士や司法書士などの法律専門家であるケースが多く見られます。

後見人とのやり取りを通して、相続の知識を身に付けているケアマネージャーもいるため、利用者が相続の相談をするのはおかしなことではありません。

また、相続となれば、同時にお金の問題も関係してきます。

お金の話といっても広範囲にわたりますが、少なくとも相続手続きや介護サービス、日々の生活に関してお金の相談をされるのは、一般的なようです。

ケアマネージャーはお金の相談に乗れる知識を持っておくことが大切

間取り図

ケアマネージャーは、お金の相談にも乗れる知識を持っておくことが大切です。介護とお金の関係は、切っても切り離せないからです。

ケアマネージャーの仕事内容には、ケアプランの作成が含まれます。ケアプランの作成は、介護の方針を決めるための作業です。

どのような介護サービス・介護施設が利用者の希望に合致するか、利用者本人やその家族、福祉関係者、医療関係者などとコミュニケーションを取りながら、ケアマネージャーは介護の方針を決めていきます。

しかし、介護サービスや介護施設の利用にはお金がかかります。経済状況と照らし合わせながら、方針を練っていかなければなりません。

予算や資金計画も介護の方針に影響してくるため、お金の知識は、ケアマネージャーにとって身に付けておかなければならないスキルといえるでしょう。

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意外と知らない!家族信託についての基礎知識

家族信託

ここでは、家族信託の基礎知識を紹介します。

家族信託は、認知症対策に利用される機会の多い手続きです。
家族信託に詳しくなっておくと、利用者が認知症になった際のリスク回避方法を、お金の観点から案内できるようになります。

家族信託とは?

家族信託は、信頼できる人に、自身の財産の管理・処分を託す手続きです。
体調の悪化に備えて、家族に不動産の管理を引き継ぐ体制を整えておきたいときなどには、家族信託が役に立ちます。

財産管理を任せる相手は家族に限らず第三者でも構いません。しかし実際は、家族内で信託手続きが組まれるケースが大半です。

家族信託は、認知症対策として活用される場合が多く見られます。
認知症になったあとの財産管理が気になる場合は、家族信託を検討する価値があります。

また家族信託は遺言と似た機能も持ち合わせ、家族信託契約で相続財産を誰に渡すかを指定できます。

このように、家族信託は柔軟な財産管理ができる方法といえるでしょう。

家族信託の仕組み

家族信託契約は、委託者と受託者の契約で成立します。

委託者は、財産の所有者であり、自身の財産の管理を託す人のことです。
一方、受託者は信託された財産の管理をする人、つまり委託者から財産の管理を任される人です。

たとえば、将来において投資用不動産の運営・管理を長男に任せる場合、不動産所有者の父が委託者、長男が受託者に該当します。

  • 財産の所有者(例:高齢の父親)⇒ 委託者
  • 財産の管理者(例:父から不動産管理を任された長男)⇒ 受託者

なお、家族信託の登場人物には、受益者も存在します。

受益者は、信託財産から利益を受ける立場にいる者です。受益者は委託者と兼ねる場合も多く、今回の事例でいうと、所有者である父親が、受益者を兼ねる形になることが多いでしょう。

家族信託が注目されている背景

家族信託が注目されだした主な理由は、社会の高齢化です。
高齢人口が増え、認知症に対する不安が高まった点が、家族信託が注目を集めている理由の1つといえます。

認知症対策には、家族信託の他に、後見制度も存在します。どちらかいうと、後見制度のほうが世間では認知度が高いかもしれません。

しかし後見制度は、法律の専門家などの無関係の第三者が親の財産を管理する、あるいは第三者から監視されるなど、世間からの評判がいまいちよくありません。また、専門家が後見人となった場合、継続的に報酬を支払う必要があります。

このような後見制度に対する不満を受けて、より柔軟で使い勝手のよいとされる家族信託が脚光を浴びているという事情があります。

家族信託のメリット

家族信託のメリットは、以下の通りです。

  • 認知症対策になる
  • 管理者(受託者)の裁量が広い
  • 遺言よりも自由な遺産の承継が可能

家族信託のメリットで第一に考えられるのは、認知症対策になる点です。
しかも、同じ認知症対策である後見制度(成年後見制度・任意後見制度)よりも、優れた点がいくつかあります。

たとえば、口座凍結解除までの円滑さです。

認知症になった際、本人の預金口座は凍結され、預金が引き出せなくなるトラブルが起こります。このトラブルに対しては、家族信託・成年後見制度いずれの方法でも解決できます。

しかし、家族信託のほうが凍結解除までの流れがよりスムーズです。成年後見制度は、後見人選任まで、1カ月程度の時間を要します。

他には、財産処分の自由度もあります。

家族信託の管理者(受託者)が持つ管理・処分の裁量は、後見制度の管理者(後見人)が持つ裁量よりも広範にわたります。たとえば後見制度の場合、本人の財産をリスクにさらすような積極的な運用はできません。

最後、財産承継の自由度の高さも、家族信託のメリットとして挙げられるでしょう。家族信託は遺言と同様の機能を持ち合わせますが、遺言では実現できない、二次相続以降の財産承継先もコントロールできます。

家族信託のデメリット・注意点

家族信託には、デメリットもあります。

家族信託は、後見制度よりも優れた認知症対策として紹介される機会もありますが、全ての点で優れているわけではありません。
家族信託を他人に紹介する際は、メリットとデメリットの双方を知った上で、案内する必要があります。

家族信託のデメリットには、以下の内容が考えられます。

  • 身上保護は対象外
  • 管理者(受託者)の同意が得られない可能性

家族信託の管理内容に含まれるのは、あくまで財産に関わる内容です。財産とは無関係の、身上保護は家族信託でカバーできません。

管理者に身上保護も任せたい場合は、後見制度を選ぶか、あるいは家族信託と後見制度を併用する形となります。

また家族信託は、受託者の了承を得て、初めて成立します。この点、成年後見制度であれば、後見人は裁判所が選任するため、管理者のなり手がいないという心配は不要です。

家族信託が必要になるケース

家族信託が必要とされる場面はさまざまです。

しかしケアマネージャーとしては、次に該当する場合は、家族信託の案内が功を奏するかもしれません。

  • 本人のお金で介護費用をまかなっている
  • 自宅の売却を考えている

介護利用者本人のお金で、介護費用の大部分をまかなっているケースでは、本人の預金口座凍結による悪影響が大きいといえます。利用者本人が認知症を患い、口座凍結になった際、介護費用の出所がなくなるからです。

家族に介護費用を立て替えるだけの経済的余裕がない場合、事態はさらに深刻になるでしょう。この場合、家族信託を組んで、口座凍結対策をしておく意味は大きいといえるでしょう。

また、将来的に本人が自宅の売却を考えている場合も、家族信託の必要性が高くなります。家族信託を組んでおくと、認知症後の不動産の売却がスムーズに進むからです。

家族信託の手続きの流れ

家族信託を紹介する場合、手続きの流れを知っておくと案内しやすくなります。

家族信託のおおよその流れは、次の通りです。

  1. 家族で協議
  2. 専門家(弁護士・司法書士など)に相談
  3. 契約書作成
  4. 本人から受託者となる家族へ、財産を移す

家族信託をするのであれば、まず家族で協議する必要があります。
家族信託を組む以上、少なくとも受託者は決めないといけません。遺言のように、単独で実行できる手続きとは違います。

家族で協議し、家族信託に対する賛同を得られそうなら、専門家を探して相談しましょう。家族信託は、契約書作成の難易度が高いため、専門家に相談するほうが安全です。

その後の、契約書作成や財産の移転は、依頼した専門家に任せれば問題なく進むでしょう。

ケアマネージャーが家族信託について知っておくメリット

打ち合わせ

ここでは、ケアマネージャーが家族信託について知っておくメリットについて解説します。

利用者やその家族からの信頼を得られる

ケアマネージャーが家族信託について詳しくなっておくと、利用者やその家族からの信頼がより厚くなります。

ケアマネジャーは介護支援のプロフェッショナルであり、法律の専門家ではありません。

しかし家族信託は、介護と関係する側面もあります。まったく無関係とは言い切れません。
なぜなら家族信託は、認知症対策として活用されるからです。

認知症になった際の解決策・予防策として、家族信託がどのように機能するか伝えることができれば、利用者や家族からの反応も違ってくるのではないでしょうか。

家族信託の知識は、ケアプランの作成にも影響してくると思われます。

自身やその家族にも役に立つ

家族信託の知識を深めておくと、ケアマネージャーの仕事以外にも役に立ちます。認知症対策や相続の問題は、親を持つ人なら、全員が直面する問題だからです。

たとえば親が認知症になったとしましょう。
認知症になると、本人の銀行口座は凍結される場合があります。口座を凍結されるとお金を引き出せなくなってしまいます。

親の貯金を介護費用に充てる計画を立てていた場合は、痛手となるでしょう。凍結が解除されるまでは、介護費用を家族が立て替えなければなりません。

この点、家族信託を組み、事前に銀行と調整しておくと、受託者が預金を引き出すことができ、認知症後でもスムーズに親のお金を有効利用できます。

このような家族信託の機能を知っておけば、利用者のみならず、自分の将来にも役立ちます。

まとめ

介助士

ケアマネージャーは、介護のプロフェッショナルです。お金の専門家ではありません。
しかし、現実問題、ケアマネージャーはお金の相談を受ける機会も多くあります。

介護にはお金がかかり、予算次第で利用できる介護サービスや施設も変わってくるため、無関係の相談とも言い切れません。お金の知識は、ケアプランの作成にも影響してくるでしょう。

この点、家族信託は、財産の円滑な管理や有効活用につながります。お金の相談を受けた際に、家族信託の知識を持ち合わせておくと、利用者やその家族からの信頼を得やすくなるでしょう。

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この記事を書いた人

ファミトラは「人生100年時代のコンシェルジュ」として、認知症による資産凍結だけでなく、家族の老後にまつわるさまざまな課題解決に伴走しています。介護や相続の他、遺言や任意後見・成年後見制度、生前贈与といったこれまでの対策に加わるかたちで、「家族信託」のサービスをあたりまえにすることを目指しています。

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