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高齢者になると認知機能が低下し、浪費や詐欺等、お金に関するトラブルが生じやすくなります。何らかの形で、家族が本人の金銭管理をサポートする必要性があるといえるでしょう。
しかし、金銭管理の方法はさまざまであり、状況や資産規模によって適切な選択は変わります。
この記事では、高齢者が抱える金銭管理の問題と家族のサポート方法についてまとめています。親のお金の適切な管理方法について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
一人暮らしの高齢者に起こり得るお金のトラブルとしては、以下の内容が考えられます。
高齢者になると認知機能が低下し金銭管理能力が低下する可能性があります。
具体的には、次のような傾向や行動が見られます。
上記の行動は全ての高齢者に当てはまるわけではありませんが、高齢者になると金銭管理能力が衰えるのは一般的な傾向といえます。
金銭管理能力の低下により多額のお金を失う場合もあるので、本人の財産を守るためにも周囲のサポートが大切です。
高齢者は詐欺被害のターゲットになりやすいです。
認知機能が低下傾向にあり、かつ一人暮らしの高齢者は特に注意すべきでしょう。
高齢者が狙われやすい詐欺被害としては、以下の内容が考えられます。
高齢者を狙う詐欺は、身近な人物を装って実行されるケースが多いです。息子・娘や孫など、身近な人物を装ってお金を請求するオレオレ詐欺は、その典型といえるでしょう。
また、法律の文言を巧妙に用いた詐欺も高齢者はターゲットになりやすいです。高齢者は権威に弱い傾向にあるからです。
高齢者の中には、お金や物品を盗まれたと勘違いし周囲とのトラブルを起こしてしまう人もいます。
認知機能が低下すると、被害妄想が拡大する可能性が高くなるからです。
お金を盗まれたと勘違いし、周囲を疑ったり責めたりした結果、家族との関係や近所との関係が悪化してしまう事態は、認知症患者によく見られる事例です。
高齢者の被害妄想が強くなると、家族が疲弊し、本人のみならず家族の心理的ケアをどうするかという問題も生じます。身内での解決にこだわるのではなく、外部のサービスやサポートをどう取り入れていくかについても検討しなければなりません。
前述の通り、高齢者になると、クレジットカードを紛失したり、詐欺被害に遭いやすくなったりします。
高齢者の認知症が進行した場合、それらのリスクや被害はさらに深刻です。
例えば、認知症が発覚すると、銀行は本人の銀行口座を凍結する場合があります。銀行口座が凍結されると、預金の引き出しができなくなり、お金の管理について具体的な支障が生じます。
本人に十分な預金があっても、有効活用できなければ私生活に困難をもたらすでしょう。
高齢の親の資産を動かせなくなる状況は、本人の生活のみならず、家族にも悪影響を与えかねません。日頃から高齢者のお金の管理方法について考えておくことは、家族全員にとって大切な事項です。
一人暮らしの高齢者(65歳以上が対象)の1カ月の生活支出は15万円前後です。
つまり、高齢者が一人暮らしを維持するには1カ月に少なくとも15万円以上の収入が必要になります。
高齢者は、仮に無職であっても年金収入を得られます。
しかし、国民年金は満額で受給しても月額6万8,000円(2024年現在)です。
国民年金に加えて厚生年金を受給している高齢者もいますが、厚生年金受給者の平均年金受給額は、月額で15万円前後(国民年金と厚生年金を合算した金額)とされています。
統計を参考にする限り、高齢者が年金のみで生活を維持するのは難しいのが現状といえるでしょう。
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一人暮らしの高齢者のお金を管理する方法を紹介します。
今回紹介する方法は、次の通りです。
日常生活自立支援事業を活用し高齢者の金銭を管理する方法もあります。
日常生活自立支援事業は各自治体の社会福祉協議会が提供するサービスで、日常的な金銭管理サポートも実施しています。
年金の受給手続きや公共料金の支払いなど、日常的な金銭管理に収まるレベルであれば、日常生活自立支援事業によるサポートが役立つでしょう。
日常生活自立支援事業は、金銭管理以外に、以下のサービスも提供しています。
日常生活自立支援事業は、本人が社会福祉協議会と契約するだけでよく、法定後見制度や任意後見制度よりも導入のハードルが低い点もメリットです。
大金を扱うのでなければ、日常生活自立支援事業のサービスで事足りる可能性があります。
法定後見制度は、家庭裁判所が選任した後見人に財産を管理させる制度です。
法定後見制度のメリットは、認知症が進行した後でも利用できる点にあります。法定後見制度以外の管理方法は、認知症が進行してからでは手遅れである場合がほとんどです。
この点、法定後見制度は認知症が進行してからでも後見人の選任が可能です。
例えば、認知症が理由で口座が凍結されてしまっても、家庭裁判所に後見人の選任を申し立て、本人以外に口座の管理をさせることが可能です。
ただし、法定後見は後見人が自由に選べないという問題があります。必ずしも家族が後見人に選ばれるとは限らず、弁護士や司法書士等の第三者が本人のお金を管理する可能性が高い傾向です。また、その場合、後見人たる弁護士や司法書士等に報酬を支払う手間も生じます。
任意後見制度は、後見人を選んで財産を管理させる制度です。
任意後見制度と法定後見制度は、原則として同じ機能を持ちますが、任意後見制度のほうが自由度は高いといえます。
法定後見制度は後見人を自由に選べないのが難点です。
この点、任意後見制度であれば希望する人物を後見人に選べます。見ず知らずの第三者に財産を管理させたくない場合は、任意後見制度の利用がふさわしいといえるでしょう。
ただし、任意後見制度は、本人と管理者が契約を結ぶ形で成立します。高齢者である本人の認知症が進行していた場合、任意後見制度の利用はできない可能性が高く、すでに認知症が進行している場合は、法定後見制度を利用することになるでしょう。
代理人登録制度は銀行が用意している制度です。代理人登録制度を利用すると、認知症を理由とする口座凍結に備えることが可能です。
認知症が発覚すると、銀行が本人の預金を凍結する場合があります。凍結された場合、預金の引き出しができなくなり日常生活に支障をきたします。
この点、代理人登録制度を利用しあらかじめ代理人を選んでおけば、認知症に左右されることなく代理人が口座の管理業務を引き継ぐことが可能です。
銀行の代理人制度で代理人になれるのは、身内の者(配偶者・二親等以内の親族等)に限られるのが一般的です。
代理人登録制度は銀行によって取り扱いが異なるので、内容の詳細が気になる場合は、預金口座のある銀行に問い合わせてみましょう。
なお、代理人登録制度は、認知症が進行してからでは利用できません。
指定代理請求制度は、保険会社が提供する管理制度です。
認知症・障害・疾病等が理由で被保険者による保険金の請求が困難な場合、指定代理請求人が本人の代わりに請求できます。
通常、指定代理請求人は以下の者が該当します。
指定代理請求制度も銀行の代理制度と同じく各保険会社によって取り扱いが異なります。内容の詳細が気になる方は、加入先の保険会社に問い合わせてみましょう。
なお、指定代理請求制度も、認知症が進行してからでは利用できません。認知症の進行後は法定後見制度を申し立て、後見人により保険金を請求していく形になるでしょう。
家族信託は、家族信託契約を結び財産管理を特定の家族に任せる方法です。
家族信託は、委託者と受託者が契約を結ぶことで成立します。例えば、親の財産管理を長男に任せる場合、親が委託者です。
家族信託のメリットは、複数ある財産管理方法の中で最も自由度が高い点です。
家族信託を組み受託者に不動産の処分権限を与えておけば、親が認知症になった後でも、自由に不動産を売却できます。
また、受託者に預金管理をさせることで、口座凍結の問題にも対応できます。認知症発生から財産引継までのスピードの速さも特徴です。
ただし、家族信託は認知症が進行すると利用できなくなります。家族信託で高齢者の財産管理をするのであれば、早めの検討が求められます。
一人暮らしの高齢者のお金の管理においてやってはいけないことを解説します。
高齢者によるお金の管理が危険だからといって、お金を使う自由を完全に奪う行為はおすすめしません。
方法を間違えると、本人の自尊心を損ねたり、金銭管理能力の低下を招いたりと、かえって逆効果につながる可能性もあります。
高齢になり認知機能が低下すると、金銭管理能力が失われます。
高齢者の財産を守るために、何らかの工夫や制限を設けることは必要かもしれません。
しかし、やりすぎは禁物です。
本人から財布やキャッシュカードを取り上げ、自由にお金を使えなくさせる家族もいますが、得策とはいえません。
金銭管理の自由を完全に奪ってしまう行為は、本人の自尊心を傷つけかねません。また、財布やキャッシュカードを取り上げた結果、金銭管理能力の低下がさらに加速する恐れもあります。
本人の金銭管理について過度な制限を設けることは控えたほうが無難です。
前述の通り、本人から金銭管理の自由を完全に奪うことはおすすめしません。
本人の自尊心を傷つけたり、金銭管理能力のさらなる低下を招いたりするからです。
おすすめの方法は、本人名義の銀行口座を複数用意し、本人が自由にお金を使える口座を確保することです。
例えば、口座Aは家族が管理し口座Bは本人が管理するなど、家族が管理する用と本人が管理する用に分類すればリスクを減らすと同時にバランスも取れるのではないでしょうか。
本人が管理する口座に大金を預けなければ、浪費や詐欺被害があったとしても、被害の拡大は防げます。
家族が一人暮らしの高齢者のお金の管理でサポートできることについてまとめました。
紹介する主な内容は、次の通りです。
資産の全体像を把握しておくことは、金銭管理サポートの第一歩です。
本人が所有する財産の規模や種類によって、その後の金銭管理方法が変わってくるからです。
例えば、本人の預金口座を家族が管理する用と本人が管理する用に分ける場合でも、預貯金額によって金額や配分が変わります。
また、不動産の有無も管理に影響を与えます。特に不動産の売却を視野に入れる場合は要注意です。本人の認知症が進行すると、生前中の売却が難しくなり現金化ができなくなる恐れがあるからです。
資産の全体像を把握することで、家族信託や任意後見等、適切な相続対策を試みる良い機会につながります。
お金の管理について、家族間で共通認識を持っておく姿勢も大切です。
兄弟姉妹が複数人いる場合、この点は特に重要になります。
親の金銭管理について、誰がどのような目的でいくら管理するか決めておかないと、兄弟姉妹の間で不信感が生じるかもしれません。
また、複数人で情報を共有することで、より良いアイデアや解決方法が見つかる可能性も高くなります。
共通理解や情報の共有は、トラブル回避やより良い解決方法の発見に役立ちます。独断で親の金銭管理をすることは控えるようにしましょう。
お金の動きは可視化するようにしましょう。
本人のお金の使い道を把握することで、詐欺被害の防止や早期発見にもつながります。可視化にあたっては、クレジットカードやデビットカードの明細が便利です。
また、お金の可視化は本人のみならず、お金を管理する側にとっても重要です。
本人のお金を何のためにいくら使ったかを記録しておくと、横領の疑いを払拭できます。管理者の立場を担う人は、レシートや領収書を保管する癖をつけましょう。お金の使い道について、他の家族から指摘された場合に証拠として提示できます。
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高齢者になると認知機能が低下し、お金に関するトラブルが生じやすくなります。
認知機能が進行すると、預金口座が凍結されたり、不動産の売却・賃貸が難しくなったりと、本人の生前中であっても財産の管理に制限がかかる可能性があります。
財産の内容や規模によっては、任意後見制度や家族信託を活用し、認知症に備えておく必要が出てくるでしょう。
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