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家族信託の信託財産に不動産が含まれる場合には、登記手続きが必要です。
家族信託で必要な登記には、所有権移転登記と信託登記の2種類があります。
2種類の登記が必要であると言っても、なぜ登記が必要なのか、費用はどのくらいかかるのかなど疑問を持つ人もいるでしょう。
この記事では、家族信託で必要な登記について、登記のタイミングや手続きの流れ、費用などを詳しく解説します。
家族信託の仕組みは、委託者が子どもや親族などを受託者として特定の財産の管理・処分を任せるというものです。ここでの財産のことを信託財産と言います。
受託者とは、自分の財産の管理・処分を委託者に託す人のことで、受託者とは、委託者から財産の管理・処分を託される人のことです。さらに、家族信託による利益を受け取る人のことを受益者といいます。
信託財産に不動産が含まれるときには登記が必要です。ここでは、家族信託で登記が必要なケースや登記の種類について解説します。
信託財産に含まれるものとしては、預貯金、現金、株式、不動産などが挙げられます。このうち、不動産が信託財産に含まれる場合には、登記手続きが必要です。
登記とは、会社や不動産などの権利関係を一般に公開するものです。不動産の所有権については、登記をすることでその権利を第三者にも主張できるようになります。
信託財産の不動産に登記が不要となれば、信託契約の当事者以外が不動産の権利関係を把握できず、安心して取引ができなくなります。そのため、信託財産に不動産が含まれるときには登記が必要となるのです。
預貯金や現金については、そもそも登記の制度がないため登記は不要です。
家族信託で必要な登記には、所有権移転登記と信託登記の2種類があります。信託登記については、聞き慣れない人も多いでしょう。
ここでは、所有権移転登記と信託登記の内容について具体的に解説します。
家族信託では、信託財産の所有権が受託者に移転します。そのため、売買などで不動産の所有権が移転した場合と同じように、所有権移転登記をすることになります。
なお、家族信託での所有権移転登記に法的義務はありません。これは、不動産の売買などと同様です。ただし、所有権移転登記をしなければ、受託者が所有権を有することを第三者に主張することができません。委託者が信託した不動産を第三者に売却して、所有権移転登記がされた場合には、受託者は当該不動産について権利を主張できなくなります。
信託登記とは、家族信託などで不動産を信託したときに、信託契約の内容を登録する登記のことです。
信託登記の登記事項は、不動産登記法第97条で定められており、次の11項目となります。
家族信託の登記には2種類がありますが、それぞれに登記義務はあるのでしょうか。ここでは、登記の義務と必要性について解説します。
信託登記は、信託法で義務づけられています。
信託法では、受託者に財産の分別管理を義務づけており、不動産の分別管理のためには登記をしなければならないと定めています(信託法34条)。財産の分別管理とは、信託財産と受託者自身の財産とを分けて管理することです。
信託登記の義務については、信託契約をするうえで絶対必要なものです。信託契約で定めることにより信託登記の義務を免除することもできません。
先述したとおり、所有権移転登記は義務ではありません。しかし、所有権移転登記をしていなければ、所有権の移転を第三者に対抗することができません。
もっとも、信託登記の内容は所有権移転登記の中で記載されるため、信託登記を行うには所有権移転登記が前提となります。そのため、信託登記が義務である以上、所有権移転登記手続きを行わないという選択肢はありません。
家族信託の登記は、どのタイミングですべきなのでしょうか。ここでは、家族信託の開始時、期間中、終了時の3つの場面に分けて登記が必要になるタイミングを解説します。
家族信託の登記は、家族信託開始時に必要となります。信託財産の中に不動産があるときは、受託者が自身の財産と分別管理するための信託登記と、第三者に対応するための所有権移転登記が必要です。
信託登記では、委託者、受託者、受益者の氏名・住所や信託の目的などが登録されます。所有権移転登記では、所有権が委託者から受託者に移転する旨が登録されます。
通常、家族信託は開始されると長期間にわたって行われるため、その期間中に信託の内容が変更されることもあります。家族信託期間中に登記事項である信託内容に変更があれば、登記の変更手続きが必要となります。
委託者の氏名・住所は信託登記の登記事項です。そのため、家族信託期間中に委託者の住所に変更があった場合には、登記事項の変更手続きが必要となります。
さらに、委託者が死亡した場合、委託契約に別段の定めがなければ、委託者の地位は相続人に引き継がれます。その場合、相続人を新たな委託者とする登記をしなくてはなりません。
受益者の氏名・住所も信託登記の登記事項です。受益者の住所に変更があった場合には、登記変更の手続きが必要となります。
受益者の受益権は、信託契約上譲渡が許されないものでなければ、売買などで第三者に譲渡することが可能です。また、受益者の地位は相続の対象ともなります。そのため、売買や相続などで受益者に変更があった場合にも登記事項の変更手続きが必要です。もっとも家族信託の場合、受益者の生活扶助を目的とすることが多いことから譲渡を許容しないものとすることが一般的です。
なお、孫の代までの受益者を指定する後継ぎ遺贈の場合、受益者が死亡すると、受益権は相続されず、後継ぎ遺贈で指定された者が新たに受益権を取得します。このときには、新たに受益権を取得した者を受益者として登記事項の変更手続きを行うことになります。
受託者の氏名・住所も信託登記の登記事項です。受託者の住所に変更があった場合に、登記事項の変更手続きが必要なのは委託者などと同様です。
信託契約による受託者の地位は、死亡や辞任などにより終了します。そのため、受託者の地位は相続されることはありません。
受託者の死亡や辞任により受託者が不在となったときには、後継受託者の指定が行われていれば、後継受託者が新たに受託者となります。指定がないときには、委託者と受託者の合意により新たな受託者を選任できます。
新たな受託者が決まったときには、その旨について登記事項の変更手続きが必要です。
その他でも、信託の目的や信託財産の管理方法など、登記事項である信託契約の内容に変更があった場合には、その内容について登記事項の変更手続きが必要です。
受託者が信託財産である不動産を第三者に売却すると、その不動産は信託財産ではなくなります。そのため、受託者から買主への所有権移転登記と信託登記の抹消手続きが必要です。
家族信託が終了した場合には、所有権移転登記と信託登記を家族信託がない状態に戻さなければなりません。所有権移転登記については、所有権を現在の所有者に移転する手続きが必要です。信託登記については、抹消の手続きが必要です。
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ここでは、実際に家族信託の登記を行うのに必要な書類と、手続きの流れを解説します。
家族信託で不動産の所有権移転登記、信託登記手続きをするのに必要な書類は次のとおりです。
必要書類が揃ったら、不動産を管轄する法務局に登記申請書を提出します。
所有権移転登記と信託登記は、1つの登記申請書に必要事項を記載することで手続き可能です。所有権移転登記は、委託者と受託者の共同申請の形式をとるため、窓口で手続きをする場合には、委託者と受託者の2人で手続きを行うことになります。
共同での手続きが難しい場合や、必要書類の用意に不安のある方は、司法書士などの専門家に相談するのもおすすめです。
家族信託の登記については、司法書士に依頼するのがおすすめです。ここでは、司法書士に依頼した場合の費用について解説します。
登記手続を行うには、登録免許税がかかります。これは、司法書士に依頼しなくても必ず発生する費用です。
家族信託では、所有権移転登記の登録免許税は特例で非課税となっています。そのため、信託登記についてのみ登録免許税が発生します。
登録免許税の額は、土地については、固定資産税評価額の0.3%、建物については、固定資産税評価額の0.4%です。
固定資産税評価額が4000万円の土地では12万円、固定資産税評価額が4000万円の建物では16万円の登録免許税がかかります。
信託契約の内容などは決定済みで、登記手続きのみを司法書士に依頼する場合、費用の相場は10〜15万円ほどです。
家族信託の登記では、信託目録に記載すべき事項をどうするかなど、専門的な知識がなければ難しいことも多いです。スムーズに手続きを進めるには、費用をかけてでも専門家に依頼するのが安心でしょう。
家族信託の登記には、法律上の期限はありません。しかし、信託登記による不動産の分別管理が義務となっている以上は、登記をしないまま信託財産の管理を行うのは大きな問題があります。
そのため、信託契約締結後は、速やかに登記手続きを済ませて、適切な形で信託財産の管理を行うようにしましょう。
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ここでは、家族信託の登記を行う際に、注意しておくべきポイントを2点紹介します。登記は公開情報となるため、登記をしてからでは手遅れとなることもあります。登記手続きの前に問題ないか、一度チェックしてみるようにしてください。
家族信託の登記において信託目録に記載する事項は、委託者と受託者で決めることができます。信託契約の内容すべてを信託目録に記載する必要はありません。
ただし、長期間にわたり不動産の管理・処分を行うにあたって、現在は必要なくても、将来的には必要となる事項は、信託目録に記載しておくことが重要です。
信託契約の内容に記載があっても、信託目録に記載していなければその効力を第三者に対抗できなくなるものもあります。専門家の意見も取り入れるなどして信託目録には必要十分な内容を記載するようにしましょう。
信託登記において、信託の条項をどこまで記載するのかは判断が難しい問題です。
信託契約の条項には、信託財産を最終的に誰に帰属させるかなどの内容も含まれます。そのため、すべてを登記に記載すると、余計なプライバシー情報までを公開することになってしまいます。
具体的な内容の記載を避けるには、公正証書などの信託契約書の内容を引用するなどの方法があります。登記にどこまでの内容を記載するか、記載しないためにどうしたらいいのかについては、専門家と相談するのが安心です。
信託財産に不動産が含まれる場合には、登記手続きなど専門的な知識がなければ難しいことが多いです。
登記は一般に公開される情報であり、素人判断で不適切な登記を行ってしまうと、取り返しのつかないことになる恐れもあります。
そのため、家族信託の手続きでは、専門家に依頼するのがおすすめです。
ファミトラでは、圧倒的な低価格で家族信託を組成するためのコンサルティングなどを提供しています。弁護士や司法書士などの専門家とも連携しており安心して利用できます。
家族信託の手続きでお悩みの方は、ぜひ1度ファミトラまでお問い合わせください。
家族信託における、不動産の所有権移転登記に必要な書類は以下です。
1-登記申請書
2-信託契約書の公正証書など登記原因証明情報
3-信託目録に記録すべき情報
4-不動産の登記識別情報または登記済証
5-委託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
6-受託者の住民票
7-委託者と受託者の本人確認資料(運転免許証など)
8-固定資産税評価証明書
9-委託者の実印、受託者の実印もしくは認印
それぞれ、手に入れるために必要な内容・詳細についてはこちらの記事に記載がありますので是非参考にしてみてください!
移転いたします。
登記簿上、家族信託に組み込んだ不動産は受託者名義へ所有権移転の登記がされます。しかし、信託契約の内容を担保するための形式的な意味合いが強く、それが信託による旨、またその信託の内容も一緒に登記されることになります。
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化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。
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