特別養護老人ホームとは?特徴・入居条件・費用をわかりやすく解説

特別養護老人ホーム
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特養という言葉をご存じでしょうか。特養とは特別養護老人ホームの略称で、在宅での生活が困難な要介護状態の高齢者が入居する公的な介護施設です。

本記事では、特別養護老人ホームの特徴と入居条件や費用についてわかりやすく解説します。
特別養護老人ホームの入居を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者

村上 菜子
(むらかみ なこ)
家族信託コーディネーター

社会貢献度の高い領域に携わりたいという思いと、認知症の祖母の自宅介護をサポートしてきた経験から、ファミトラの事業に共感し、入社。

ご家族のお悩みに寄り添い、安心して過ごしていただける最初の一歩のお手伝いができればと、家族信託コーディネーターとして日々邁進。

目次

特別養護老人ホーム(特養)とは?

夕暮れの車椅子

特別養護老人ホームとは、要介護状態にある高齢者に介護サービスと生活の場を提供する公的な介護保険施設です。

特別養護老人ホームでは、入浴・排泄・食事の介護やその他の日常生活の世話などが行われています。

特別養護老人ホームの特徴

特別養護老人ホームは、入居者が可能な限り在宅復帰できるように常時介護が必要な方の入所を受け入れています。

特別養護老人ホームの主な特徴は、医療施設やリハビリを行う施設でなく、生活の場を主眼においている点です。
特徴に応じて以下の3つのタイプがあります。

  • 広域型特別養護老人ホーム(定員30人以上、居住地域制限なし)
  • 地域密着型特別養護老人ホーム(定員29人以下、居住地域制限あり)
  • 地域サポート型特別養護老人ホーム(在宅介護を受ける高齢者の見守り・援助)

比較的費用が安い

特別養護老人ホームは公的な介護施設のため、比較的費用が安いといえます。
利用する際には、施設サービス費の他に、居住費・食費・日常生活費などが利用者負担です。

それぞれの費用の内訳は下記のとおりです。

  • 施設サービス費:施設の形態・居室の種類・職員の配置などにより異なる
  • 居住費:室料と光熱費相当額
  • 食費:食材料費と調理費
  • 日常生活費:日常生活を営む上で必要なものや理美容代・医療費など

終身の入居が可能

特別養護老人ホームは、看取りにも対応し終身での入居もできます。
中長期的に生活を営む高齢者をサポートするため、生活援助や身体介護が中心です。

人生の晩年を最後まで生活される方に向けて、レクリエーションなどのイベントも多く実施されています。

24時間体制の介護

原則として、特別養護老人ホームでは24時間体制で介護が行われています。
入居者の介護ニーズの高まりに合わせ、看護婦や介護士による24時間体制のケアが可能です。

手厚い介護を必要とする高齢者や家族にとっては、信頼できる施設です。

特別養護老人ホームの主なサービス 

特別養護老人ホームで受けられるサービスは、日常生活の補助に関するものが中心で、下記のような多種多様なサービスがあります。

  • 栄養バランスに配慮した食事の提供
  • おおむね週2回以上の入浴
  • 安心できる排泄の援助
  • 自立支援を目的とした生活リハビリテーションの実施
  • 健康管理と緊急時の対応
  • レクリエーションや行事などの娯楽の提供
  • 定期的な清掃・クリーニングなどの生活支援
  • 看取りに取り組む施設も増加
  • 買い物の代行

特別養護老人ホームと養護老人ホーム・介護老人保健施設との違い

養護老人ホームとは、経済的に困窮した高齢者を養護して社会復帰の支援を行う施設です。
介護老人保健施設とは、リハビリや介護が必要な高齢者の在宅復帰を目指す施設です。略して「老健」とも呼ばれています。

3つの施設の違いを以下で表にまとめました。

名称特別養護老人ホーム養護老人ホーム介護老人保健施設
目的生活援助・身体介護経済的に困窮した高齢者の養護・社会復帰医療的ケア・リハビリ
入所基準原則として要介護3以上経済的事情で困窮した自立した高齢者要介護1~5
入居一時金なしなしなし
費用の目安月額8~13万円程度月額10~14万円程度居室タイプなどにより大きく異なる
入所難易度待機者が多い市区町村が対象者の調査後に決定待機者が少ない

特別養護老人ホームに入居できる人の条件

マンション

特別養護老人ホームに入居する条件として、通常の入居基準の他に要介護度1から2の人の特例入所の要件があります。
また、医療依存度の高い人には入居への制限もあります。

通常の入居基準

従来は65歳以上で、要介護1から5の方が入居の対象でした。
2015年の介護保険法改正により、特別養護老人ホームの入居条件が変更されました。

改正後の通常の入居条件は、下記のとおりです。

  • 65歳以上で要介護3以上と認定された方
  • 40歳から64歳で特定疾病により要介護3以上と認定された方

要介護3以上に入居が限定されている理由は、特別養護老人ホームへの入居を希望しているにもかかわらず、在宅での生活を余儀なくされている重度の要介護状態の方が多いためです。

要介護1~2の人の特例入所の要件

要介護1や2の方でも、やむを得ない事情によって特別養護老人ホーム以外での生活が困難と認められる方は特例的に入所できます。

要介護1や2の方が特例入所できるのは、以下のような考慮すべき事情がある場合です。

  • 認知症により、日常生活に支障をきたす症状などが頻繁に見られること
  • 知的障害や精神障害などを伴って、日常生活に支障をきたす症状などが頻繁に見られること
  • 深刻な虐待が疑われることなどによって、心身の安全・安心の確保が困難な状態であること
  • 単身世帯などで家族などからの支援が期待できず、地域での介護サービスなどの供給が不十分であること

上記の要件を満たす方は、特別養護老人ホームに入所申込みをする際に、特別養護老人ホーム以外での生活が困難である事情を申込書などに記載する必要があります。

施設は申込みを受けた後、必要に応じ市区町村の意見も聞いて特例入所の検討をします。

参考:厚労省「特養入所基準変更リーフレット」

医療依存度が高い人は入居できない可能性がある

特別養護老人ホームの看護職員(看護師もしくは准看護師)の人員配置基準は、入所者が30名を超えない施設では1名以上です。

30から50名の施設では2名以上、51から130名の施設になると3名以上の看護職員が必要です。
施設によっては看護職員が夜勤をするところもありますが、特別養護老人ホームでは24時間にわたる看護職員の配置義務はありません。

従って、医療依存度の高い人は、入居基準を満たしていても入居できない可能性があります。
また、専門的な医療ケアが必要になると対応が困難なため、退去になる可能性もあるでしょう。

医療依存度の高い人は、病院が併設されているなど十分な医療ケアを受けられる施設を検討しておきましょう。

特別養護老人ホームの空き状況は緩和傾向

減少

特別養護老人ホームに入所を申し込んでいるにもかかわらず、入所することができない待機者がいます。

厚生労働省の調査結果によると、2019年度に29.2万人いた要介護3以上の待機者が2022年度には25.3万人に減少しました。
また「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究報告書」を見ると、特別養護老人ホームへの増減見込みの傾向がうかがえます。

同報告書によると、都道府県では今後の5年後から10年後の特別養護老人ホームの入所申込登録者数について「増加すると見込んでいる」が27.7%で「減少すると見込んでいる」の17.0%を上回りました。

特別養護老人ホームの通常の入居基準が要介護3以上に改正された2015年以降から、特別養護老人ホームの空き状況は緩和傾向にあるのではないかと推測されます。

参考:「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究報告書(p110)」

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特別養護老人ホームの入居に必要な費用

経費

特別養護老人ホームに入居一時金はありません。利用者の負担は、施設サービス費・居住費・食費・日常生活費などです。

特別養護老人ホームの月額費用の目安は、約8万円から約13万円といわれています。
ここでは具体的に、和歌山市のホームページから一例を見てみます。

【サービス費用の目安】

ユニット型個室で要介護3の場合:29,547円
※1割負担の場合で各加算や地域区分別単価を加味した1カ月分(30日)のサービス費用の目安

【食費の目安】

1,445円×30日=43,350円
※1日当たりの水準となる額(基準費用額)

【居住費の目安】

ユニット型個室(共有スペースを併設し、完全に仕切られている個室)の利用を想定
2,006円×30日=60,180円
※1日当たりの水準となる額(基準費用額)

【サービス費用の目安】+【食費の目安】+【居住費の目安】=133,077円

多床室(共有スペースを併設しない相部屋)利用の場合の合計額:約96,000円

おおむね、約8万円から約13万円になります。

上記の金額に【その他の日常生活費】が加算されます。
その他の日常生活費の例:理美容代、シャンプーや歯ブラシなど身の回りの費用、教養娯楽費など

参考:施設を利用したときにかかる費用(和歌山市)

特別養護老人ホームの費用が足りない場合に利用できる制度

クレジットカード

特別養護老人ホームの費用が不足する場合、利用できる主な制度は下記のとおりです。

  • 特定入所者介護サービス費
  • 高額介護サービス費
  • 高額療養費・高額介護合算療養費制度
  • 医療費控除
  • 自治体などの利用者負担減免制度

特別養護老人ホームは比較的費用が安いものの、期間が長くなれば介護費用も多額になります。
以下で制度の紹介をするので、利用できる制度があれば検討すると良いでしょう。

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費は、介護保険負担限度額認定申請が必要です。

施設サービスを利用すれば、利用者負担額に加えて、居住費・食費・日常生活費を全額自己負担しなければなりません。

所得の低い方の居住費と食費には、所得に応じた自己負担限度額が設定されています。
限度額を超えた部分は、特定入所者介護サービス費として介護保険から給付される仕組みです。

制度の対象者は、原則として本人と配偶者及び住民票上の同一世帯である方が住民税非課税であることが要件です。その他に収入・資産要件もあります。

全ての要件を満たせば、市区町村に申請・相談してみましょう。

参考:介護保険負担限度額認定制度について(施設入所時の食費・居住費を軽減する制度)/町田市ホームページ

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、公的介護サービスを利用して1カ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超過した場合に、超過分が払い戻される制度です。
超過した分の払い戻しについては申請が必要です。

2021年8月に応分負担の観点から、一定年収以上の高所得者の負担限度額の見直しが行われました。

参考:公的介護保険で自己負担額が高額になった場合の軽減措置とは?
参考:令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます

高額療養費・高額介護合算療養費制度

高額療養費制度は、医療費の家計負担が大きくならないように、医療機関及び薬局窓口で支払う医療費が1カ月の上限額を超過した場合に超過分を支給する制度です。
上限額は年収・所得により決められています。

高額介護合算療養費制度は、1年間の医療保険と介護保険の自己負担額が著しく重くなったときに、負担を軽減する制度です。

世帯内の後期高齢者医療制度の全ての被保険者が、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が基準額を超過した場合に、超過分を払い戻す制度です。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省
参考:高額介護合算療養費制度|厚生労働省

医療費控除

医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除です。

自己または自己と生計を一にする配偶者、その他親族のために支払った医療費が対象となります。
医療費控除の対象になれば、確定申告により還付を受けることができます。

参考:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」

社会福祉法人などによる利用者負担軽減制度

生計が困難である方が、社会福祉法人などが運営する施設などで提供する介護保険サービスを利用する場合に、利用者負担額・食費・居住費(滞在費)または宿泊費が軽減される制度です。

軽減制度を受けるためには、申請が必要です。

参考:仙台市「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」

特別養護老人ホームに関するよくある質問

以下では、特別養護老人ホームに関するよくある2つの質問について具体的に回答します。

特別養護老人ホームの費用は年金だけで払えますか?

特別養護老人ホームは、公的な介護施設で月額費用も民間施設より比較的安いです。
そのため、年金の収入だけで特別養護老人ホームの費用を払える方もいます。

特別養護老人ホームの月額費用は、その他の日常生活費を除くと約8万円から約13万円です。
一方で、2023年度の年金月額は国民年金(老齢基礎年金1人)で66,250円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は224,482円です。

厚生年金受給者ならば、年金収入だけで特別養護老人ホームの費用を支払うことができます。
世帯の年金額をチェックしておきましょう。

参考資料:厚生労働省「令和5年度の年金額改定」

特別養護老人ホームは認知症の人も入居できますか?

特別養護老人ホームは、要介護認定を受けた方が入所の対象です。

認知症の人も、65歳以上で要介護3以上なら入居基準を満たし入居することができます。

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まとめ:特別養護老人ホームは費用負担が比較的軽い公的介護施設

要介護

本記事では、特別養護老人ホームの特徴や入居の条件・入居に必要な費用について解説しました。

特別養護老人ホームは、公的介護施設のため費用負担が比較的軽くすみます。
費用が足りない場合に利用できる、各種軽減制度についても紹介しました。
特別養護老人ホームへの入所を検討されている方は、本記事を参考にしてください。

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この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

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