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テレビや新聞で、運転免許の自主返納について耳にしたことがある方は多くいるのではないでしょうか。
運転の技術が衰えたために自動車事故を起こしてしまうケースが多くあるため、運転免許の自主返納を検討する人が増えています。
本記事では、高齢者が運転免許を返納するメリットとデメリットについて解説します。
免許返納の手続きや免許返納で受けられる特典についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
田中 総
(たなか そう)
司法書士
2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。
経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。
田中 総
司法書士資格保有/家族信託コーディネーター/宅地建物取引士/不動産証券化協会認定マスター
東証一部上場のヒューリック株式会社 入社オフィスビルの開発、財務、法人営業、アセットマネジメント、新規事業推進、経営企画に従事。2021年、株式会社ファミトラ入社。面談実績50件以上。首都圏だけでなく全国のお客様の面談を対応。
運転免許証の自主返納とは、自ら運転免許の取り消しを申し出ることです。
身体機能が衰えたり判断力が鈍ったりして、運転を続けるのが危ないと感じたり、家族から運転をやめるように言われたりした場合には、運転免許を取り消すことが可能です。
運転免許証の自主返納を行った人には、運転免許証の代わりに運転経歴証明書が発行できます。
運転経歴証明書は、一部機関を除いて本人確認書類として利用できる他、運転経歴証明書を提示することで割引や特典が受けられる場合があります。
なお、運転免許証を自主返納した後、もう一度運転免許を取りたい場合、テストの免除などはありません。適性試験・学科試験・技能試験に合格する必要があります。
運転免許の返納方法については、以下のリンクで詳しく説明しています。
運転免許を返納することには、次のようなメリットがあります。
それぞれのメリットについて、以下で見ていきましょう。
自動車を運転することがなくなるため、自動車事故の加害者となるリスクはゼロになります。
身体能力や判断能力が衰えると、自動車を正確に運転することが難しくなります。
アクセルとブレーキを踏み間違えたり、歩行者や自転車の存在を認識できなかったりして、事故に至るケースを耳にしたことがある方も多いでしょう。
運転免許証を返納することで、このような自動車事故で加害者となるリスクがなくなります。
運転に自信がないなと感じた場合は、他人を事故に巻き込んでしまう前に運転免許証を返納することがおすすめです。
運転免許証は本人確認書類としても利用できます。
そのため、運転免許証を紛失したり盗難されたりした場合、悪用されてしまう可能性があります。
運転免許証を盗まれてしまうと、ローンを組んだり消費者金融から借入れを受けたりするのに利用できるだけでなく、住所が特定されて身体に危険が及ぶ可能性もあるでしょう。
もちろん、運転免許証を返納すると発行できる運転経歴証明書を紛失すると、同様のリスクがあります。
そのため、運転経歴証明書を発行するかどうかは、紛失による悪用のリスクを考慮した上で検討してみてください。
運転免許証の返納により交付される運転経歴証明書を提示することで、タクシー券交付や割引などの特典を受けられます。
具体的には、タクシー料金の割引や、百貨店で購入した商品の無料配送などが挙げられます。
他にどんな特典が受けられるのかは後述していますので、あわせてご覧ください。
ただし、このような特典を受けられるのは高齢者に限られている場合がほとんどです。若い人が特典目当てで運転免許証の返納をすることはおすすめしません。
運転免許返納には、メリットだけでなく次のようなデメリットもあります。
それぞれのデメリットについて見ていきましょう。
自動車が利用できなくなるため、移動が不便になる場合が多くあります。
運転してくれる人がいれば多少は不便が解消されるかもしれません。しかし、運転してくれる人がいない場合は、バスや電車、タクシー、自転車などを利用することになります。
しかし、自動車以外の交通手段での移動は不便に感じる場合が多いため、外出する機会が減ってしまうこともあるでしょう。
外出の機会が減ると、孤独を感じたり運動不足になったりしてしまい、認知症の発症リスクが高まってしまいます。
そのため、運転免許証を返納したら、定期的に外出の習慣を作るなどして運動不足や孤独を解消できるようにすることがおすすめです。
運転免許証での身分証明ができなくなることもデメリットの1つです。
本人確認書類として便利なため、免許は返納したくないと考える方もいるのではないでしょうか。
パスポートやマイナンバーカードでも身分証明はできますが、それらのカードを持っていない場合は運転免許証での身分証明ができなくなるのは大きなデメリットの1つです。
しかし、運転免許証を返納すると、本人確認書類として利用できる運転経歴証明書を発行できるようになります。
一部機関では運転経歴証明書による身分証明ができませんが、日常で利用する場所ではほとんど利用できるため、運転経歴証明書の発行も検討してみてください。
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ここでは、運転免許証を返納することで受けられる特典の内容について解説します。
どのような特典が受けられるのか、地域によって違いもあるため、ぜひ参考にしてください。
運転免許返納で受けられる特典で多くあるのが、公共交通機関やタクシーの割引、配送サービスの割引です。
運転免許を返納すると、公共交通機関やタクシーを利用する必要があるため、割引が受けられるのは大きなメリットだといえます。
また、百貨店などでたくさん買い物をした際にも、電車やバスで大きな荷物を運ぶのは大変です。
その際に配送サービスの割引を受けられると、気軽に配送サービスを利用でき、百貨店などで買い物がしやすくなります。
生活用品の割引や定期預金の優遇を受けられることもあります。
例えば、電動アシスト自転車やメガネ、補聴器などの割引が受けられたり、定期預金の金利が高くなったりすることがあります。
このように、移動手段に関する割引のみならず、幅広いお店やサービスで割引や優遇が受けられるため、積極的に活用してみると良いでしょう。
受けられる特典の内容は地域によって異なります。
ここでは、以下の5つの都府県を例に挙げて、どのような違いがあるのかを見ていきましょう。
東京都の特典で特徴的なのは、有名ホテルや商店街での割引、観光バスの割引です。
他にも、免許を返納しても出かけたくなるような割引がたくさん用意されています。
もちろん、日常生活で恩恵を受けられる特典も複数用意されているため、どのような特典が用意されているのかを確認してみてください。
東京都で受けられる特典は、警視庁が公開している「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」から確認できます。
参考:警視庁|高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧
神奈川県の特典で特徴的なのは、観光地やホテルでの割引に加え、日帰り温泉施設の割引が受けられる場所が多いことです。
東京都と同じく、楽しく出かけることのできる場所で割引を受けられることが多いため、積極的に活用してみてください。
神奈川県で受けられる特典は、神奈川県警察が公開している「神奈川県高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟団体等一覧表」から確認できます。
参考:神奈川県警察|神奈川県高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟団体等一覧表
大阪府では、それぞれの地域で商店街での割引が充実しています。
さらに、バス会社の中には1年間バスを無料で乗れるようになる特典を提供しているところもあります。
大阪府で受けられる特典は、大阪府が公開している「高齢者運転免許自主返納サポート制度について」から確認してみてください。
愛知県では、生活用品の割引や入浴施設での割引など、日常生活で受けられる割引が充実しています。
さらに、新築住宅や新築マンションを購入すると20万円分の商品券がプレゼントされる特典もあります。
愛知県で受けられる特典は、愛知県警察が公開している「高齢者交通安全サポーター一覧(警察署別)」から確認してみてください。
福岡県の特典で特徴的なのは、公共交通機関の割引が充実していることです。
路線バスやタクシーの割引が受けられるだけでなく、福岡市地下鉄でも定期券「ちかパス65」を購入した方に向けて、半額相当分のポイントを還元しています。
他にも自治体ごとに割引やポイント付与を実施しているため、免許を返納するとお得に公共交通機関を利用できます。
詳しくは、福岡県が公開している「運転免許証を返納された高齢者に対する支援サービスの紹介」をご覧ください。
参考:福岡県|運転免許証を返納された高齢者に対する支援サービスの紹介
記事内でたびたび触れた「運転経歴証明書」について、改めて説明します。
運転経歴証明書は、運転免許証を返納した後に受け取れる本人確認書類の1つです。
発行できる条件は、次の3つです。
運転経歴証明書を発行することで、身分証明や特典の利用などができるようになります。
なお、一部機関では身分証明として利用できない点に注意してください。
運転免許返納手続きの方法について解説します。
運転免許を返納するには、運転免許試験場や運転免許更新センター・警察署などで手続きをします。
以下で、必要なものと手数料について見ていきましょう。
必要なものは「運転免許証」です。
代理人が申請する場合、免許を返納する本人の運転免許証と委任状、代理人の住所や氏名、生年月日が確認できる書類も準備してください。
なお、運転免許証の返納と同時に運転経歴証明書の発行を行う場合、発行手数料1,100円と申請用写真が1枚必要です。
運転免許返納手続きには、手数料はかかりません。
しかし、運転経歴証明書を発行する際には1,100円が必要です。
参考:警視庁|運転免許証の自主返納の申請をする方(運転経歴証明書の交付は希望しない方)
参考:警視庁|運転免許証の自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請をする方
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自動車を仕事で利用する場合など、どうしても運転免許を返納することが難しい場合もあるでしょう。
そのような場合に有効な対策方法が2つあります。
それぞれどのような対策なのかを詳しく見ていきましょう。
1つ目の対策は高齢者講習を受講することです。
運転免許の更新期間満了日の年齢が70歳から74歳までの方で、免許を更新する場合は高齢者講習の受講が義務付けられています。
更新期間満了日の6カ月前から更新期間満了日までの間に受講することが必要です。
内容は座学や運転適性、検査、実車などで、運転技術や判断力などが自動車の運転に適しているのかを確認します。
予約方法は各都道府県により異なるため、お住まいの都道府県の警察署に問い合わせてください。
「サポカー」に乗ることも対策の1つです。
サポカーとは最先端の技術で運転をサポートしてくれる車のことです。
アクセルの踏み間違いによる事故を防止する「踏み間違い加速抑制システム」などを搭載しており、安全に車に乗ることができます。
全ての事故を防げるわけではありませんが、誤った運転による事故を防ぎやすくなるため、サポカーに乗ることをおすすめします。
最後に、運転免許返納に関するよくある質問を紹介します。
運転免許返納に関して疑問点のある方はぜひ参考にしてみてください。
運転免許を自主返納したあと、運転免許を再取得することは可能です。
しかし、自主返納した人に対する特例などはありません。
そのため、自主返納した後免許を再取得する場合は、初めて運転免許を取得した際と同じく、適性試験・学科試験・技能試験に合格する必要があります。
運転免許の自主返納は年齢に関係なく手続きできるため、若くても自主返納できます。
しかし、自主返納による特典の対象は65歳以上の高齢者であることがほとんどです。
そのため、運転免許を自主返納しても特典を受けられる場合がほとんどない点に注意してください。
高齢者が運転免許を返納することで、事故を起こすことがなくなるだけでなく、特典を受けることもできます。
運転免許更新センター・警察署などで手続きできるため、運転に不安を感じるようになったら運転免許の返納を検討してみてください。
また、認知機能が低下したと思われたり、両親が高齢になり運転免許を返納するタイミングで家族信託を利用することも検討すると良いでしょう。
認知症になると銀行口座が凍結され、預金の引き出しなどができなくなります。家族信託を利用していると銀行口座の凍結を免れることができます。
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東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。
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