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介護施設の種類は様々で、施設によって費用も異なります。
種類が豊富なぶん、親が入る介護施設選びが気になる方も多いでしょう。
この記事では、介護施設の特徴と施設ごとの費用の目安を紹介します。
あらかじめ施設の特徴と費用の相場を把握しておけば、両親を希望の施設へ入所させられる可能性も高まるでしょう。
生命保険文化センターの調査によると、親の介護にかかる費用の目安は、平均で月額8.3万円です。
平成21年の調査では、平均7.3万円でした。介護費用は、年々上昇傾向にあるといえます。
もっとも、介護費用は個々の事情に左右されます。介護の形態や利用施設の種類、受けるサービスの内容によって、必要なお金は異なるためです。
自宅介護を選択せず、施設を利用する場合は、当然ながら施設に支払うお金の準備が必要です。
介護施設には、公営施設と民営施設があり、公営か民営かによっても費用は変わってきます。一般的に、民営施設の方が高額になり、施設によっては数千万単位での入所金が求められます。
介護施設入所に際してかかる費用の種類は、次のとおりです。
施設介護サービス自己負担額は、介護サービスを受けるための基本料にあたります。
居住費は、各施設によって異なるため事前の確認が必要です。
居住費は、マンションの家賃と同じで、契約期間中は発生し続けます。遠出で部屋を空けたとしても居住費の支払いは生じます。
管理費はマンションの管理費と同じ位置づけです。施設共有部分の使用について発生する費用で、費用の具体的な内訳は施設ごとに異なります。
ここでは、介護施設の種類と費用の相場を紹介します。
施設のサービス内容や費用の相場は、各施設によってまちまちです。もっとも費用に関しては、民間施設より公的施設の方が、安価になるのが一般的です。
公的な介護施設を紹介します。
できる限り費用を安くすませたい方は、公的施設の検討をおすすめします。
特別養護老人ホームの特徴は、介護保険が適用される点です。
特養(特別養護老人ホームの略)は、公的施設に該当し、在宅介護が難しい要介護3以上の高齢者が利用できます。
特養は、在宅での生活が難しい方に向けた施設といえます。
主なサービス内容は、生活支援を基礎とし、入浴・排せつ・食事もサポートされます。
24時間体制のサービスで、施設内での看取りにも対応します。サポートは万全といえるでしょう。入室期間にも制限はありません。
特養は、施設に支払う一時金が発生しません。つまり、初期費用は0円で済みます。入所後の月額費用は、要介護度や部屋のタイプによりますが、9〜15万円が目安です。
一般的に、特養は民間施設に比べて、費用が安くなります。
特養はサポートも手厚く、費用も安価であるため人気です。入所の希望も多く、入所待ち状態になっている地域も散見されます。
特養の利用にあたっては、入所待ちになる可能性もあわせて検討しましょう。
特養に入所できなかった場合のプランも用意する必要があります。
介護老人保健施設は、特養と同じく公的施設に該当します。
栄養・食事の管理から医療専門家によるケアまで、サービス内容が多岐にわたり、夜間の利用もできるのも大きな特徴です。
老健(介護老人保健施設)の利用対象者は、65歳以上で要介護1〜5に該当する高齢者です。
退院後すぐさま自宅に戻ることが難しい場合に、介護老人保健施設は利用されます。老健の利用は在宅復帰を前提とするため、症状の安定が求められます。
老健は終身にわたりサービスを提供するものではありません。入所後は、3〜6カ月ごとに退所の判断がなされます。
費用に関しては、特養と同じく入居一時金が発生せず、安価に利用できる点が特徴です。入所後の費用の目安は、8〜14万円です。
特養と同じく利用費用が安いため、老健も人気といえます。
しかし、特養と異なり、老健は入所期間があります。終身サービスではありません。
近いうちの復帰を前提としているため、レクリエーションなどのイベントも少なめです。
老健の入所で介護の必要がなくなるわけではありません。安価な費用で長期にわたりサービスを受けたい場合は、特養を視野に入れましょう。
軽費老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体により運営される福祉施設です。
軽費老人ホームに入所すると、外出時のサポートなど、生活の扶助を受けられます。
ただし、サポート内容は基本的なものにとどまり、入浴・排せつなどの身体的な介護は含まれません。
軽費老人ホームは、有料の老人ホームよりも安価に利用できる点で優れています。
費用はタイプによって異なり、月額費用の目安は、A型が6.5〜15万円、B型が4万円前後、C型が7〜20万円前後です。
介護療養型医療施設は、要介護の度合が高い方に適した施設です。
65歳以上の高齢者が対象で、かつ要介護1以上の認定を得ている必要があります。
介護療養型医療施設は、医療ケアを常に必要とする高齢者であっても、安心してサービスを受けられるのが特徴です。
施設での生活は、病院で入院している状態に近いです。医師の診断を含めた医療サポートに加え、リハビリ、食事や排せつなどのサポートも受けられます。
医療面は充実している反面、生活サポートの充実度合いはやや劣ります。
イベントやリクリエーションの機会は少ないため、施設での交流を求めている方には不向きといえるでしょう。
介護療養型医療施設の利用にあたっては、入所一時金は不要です。入所後の月額利用料は、7〜13万円が目安で、安価な部類に入ります。
介護療養型医療施設は、国や自治体の補助金で運営されているため、施設の利用料も低めです。
医療ケアを目的として、かつ費用を安価に済ませたい方は、介護療養型医療施設を検討してみる価値があるでしょう。
なお、介護療養型医療施設は2023年末での廃止が決定済みです。
同様のサービスを求める方は、介護医療院をチェックしましょう。介護医療院は介護療養型医療施設の代替施設として位置づけられます。
次に民間の介護施設を紹介します。
紹介する介護施設は、次のとおりです。
民間施設の費用は高額になりがちですが、そのぶん公的施設では実現できない生活を送ることができます。
住宅型有料老人ホームは、民間で運営される介護施設です。
住宅型有料老人ホームは、要介護度合が低い高齢者が対象となります。
サービス内容は、食事や掃除のサポートなど、生活の見守りが中心です。
本格的な介護が必要な場合や施設のサポートのみでは不十分な場合は、必要に応じて外部の介護サービスを併用できます。
住宅型有料老人ホームの利用にあたっては、入居一時金が必要です。
入所後の月額費用は、施設によってバラつきがありますが、15~30万円が目安とされています。
介護付き有料老人ホームは、介護サービスを受けられる民間の老人ホームです。
受け入れ対象が広いのが特徴で、自立~要介護5まで、要介護度合を気にすることなく入所可能です。
サービス内容は様々で、ペットの持ち込みができる施設もあります。介護付き有料老人ホームであれば、公的施設では実現が難しい生活も可能です。
費用に関しては、まず入居一時金が必要です。入所後の月額費用は、10~30万円が相場となっています。
サービス付き高齢者向け住宅は、一種の賃貸住宅です。サービス付き高齢者向け住宅は、略して「サ高住」と呼ばれます。
サ高住は、施設よりも、集合マンションのイメージに近いといえます。
ただし、通常の集合マンションと異なり、安否確認や生活相談などのサービスがついてくるのが特徴です。
また、マンションの室内もバリアフリーを基本としており、高齢者が過ごしやすい設計になっています。
家賃の目安は8〜30万となっており、入居あたり2〜3カ月分の敷金あるいは礼金を求められる場合があります。
グループホームは、認知症患者を対象とした施設です。
グループホームの対象は65歳以上で、要支援2あるいは要介護1以上の高齢者です。
グループホームでは、5〜9人で1つのユニットを形成し、共同生活をします。
共同生活には、介護スタッフが付き添うため、安心して生活できます。
入居費用の要否は施設によって異なり、入所後にかかる月額の相場は15〜30万円です。
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親の介護費用は、親の財産から支出するのが基本です。
親に十分な資金があるにもかかわらず、子どもに負担させるのはバランスを欠きます。
ただし、親の財産のみでまかなえないケースもあります。
その際は、誰がいくら支出するか、家族内での話し合いが必要になるでしょう。
親の介護費用について直接定めた法律はありません。
しかし、民法877条では直系血族・兄弟姉妹は互いに扶養する義務を定めています。
不足費用について、誰か1人に責任を押しつける態度は望ましくありません。
兄弟全員の話し合いのもと、公平な形で、支出額を定めるべきでしょう。
親を施設に入所させる費用が足りないときの、対処方法を解説します。
お金がなくても、様々な制度の併用で、入所費用確保の可能性を高めることができます。
施設入所に充てられる費用が少ない場合は、公的な施設を優先的に検討しましょう。
公的施設は、民間施設にくらべて費用が安価です。
主な公的施設は、次のとおりです。
公的施設の入所には、入所条件を満たす必要があります。
例えば特別養護老人ホームの入所は、要介護3以上に認定されている方が対象です。
また、公的施設は人気があるため、地域によっては待ち状態になっています。申し込み後に、すぐさま入所できるとは限りません。
公的施設利用の際は、早めの行動が肝心です。
気になる方は、近隣の地域包括支援センターで空き状況を確認しましょう。
介護費用を軽減できる公的サービスがあります。
施設の入所費用に困ったら、公的サービスを併用して介護費用の負担を減らしましょう。
具体的には、次の制度が存在します。
特定入所者介護サービス費は、居住費と食費の負担を減らせる制度です(対象は、特養と老健のみ)。
介護保険料の減免制度は、毎月支払う介護保険料の減免を認める制度です。介護保険料減免の内容や条件は、各自治体によって異なります。
高額介護サービス費は、自己負担額を超える介護サービス費につき、払い戻しを認める制度です。自己負担額は、所得に応じて定められています。
高額医療・高額介護合算療養費制度は、保険料の自己負担額を軽減する制度です。医療保険と介護保険を合算した自己負担額が、著しく高額になった場合に適用されます。具体的には、自己負担額の一部が払い戻されます。
世帯分離により、介護費用の自己負担額が減る可能性があります。
介護費用の自己負担割合は、世帯の収入で決まるからです。
世帯を分離させて世帯収入を減らすことができれば、結果として介護費用の負担額が減る結果となります。
生活保護受給者でも、年齢や要介護度の入所条件を満たす限り、施設への入所は可能です。
生活保護を申請すると、税金や社会保険料が免除されます。
具体的には、次の免除を受けられます。
税金や社会保険料が免除されると、生活の負担が減るため、介護にお金をまわす余裕が生まれるでしょう。
介護施設に入った親が認知症になると、銀行が親の預金口座を凍結させる可能性があります。
預金口座が凍結されると、預金を引き出せず介護施設に支払うお金を用意できなくなる危険があります。
また、認知症により意思能力が否定されると、不動産の売却ができなくなるかもしれません。意思能力が否定されると、売買契約を有効に結べなくなるためです。
実家の売却金で、介護費用の捻出を検討していた方にとって、不動産の売買契約ができない結果は痛手でしょう。
口座凍結リスクや不動産リスクを防ぐためには、家族信託が有効です。
介護費用を親の資産から捻出したいと考える方は、家族信託を検討しましょう。
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ここでは、介護施設の費用に関して、よくある質問に回答します。
一般的に、介護施設の支払いについて、子どもが直接的に支払い義務を負うことはありません。契約の当事者は、親本人と施設になるケースがほとんどだからです。
子どもが保証人の場合をのぞき、親の介護施設費用不払いを理由に、契約当事者でない子どもが支払い義務を負うことはありません。
ただし、子どもには親を扶養する義務があります(民法877条)。
介護施設の費用を払えないのであれば、子どもが直接介護にあたるなど、何らかの形で親を支える必要があります。
施設の費用を滞納すると、退去させられます。
滞納後すぐさま退去を求められる場合は少なく、たいていは1〜2カ月の猶予が与えられます。
強制退去の可能性が濃厚になると、本人の家族に連絡が行き、契約内容によっては連帯保証人として支払いを求められるでしょう。
猶予期間内に未払い分を支払わないと、強制退去の流れになります。
施設費用の支払いができない場合は、放置せず対応を考えなければなりません。
介護施設のスタッフに相談する、より安価な施設に移る、国の補助制度を利用するなどして、対策を練る必要があります。
介護施設にかかる費用は、個々の事情により異なります。
費用は入所施設の種類によって異なりますし、同じ施設であっても入室する部屋タイプにより費用は変わってきます。
費用を安く抑えたいのであれば、公的施設を選ぶと良いでしょう。
しかし、ペットを飼いたい、施設内での交流を楽しみたいなど、求めるサービスの内容によっては民間施設を選ぶことになります。
民間施設は、入居一時金を求められるケースが公的施設よりも多く、初期費用がかかります。まとまったお金を用意するには、認知症対策が必要です。
親に十分な資産があっても、認知症になると預貯金や不動産などの資産を動かしづらくなるためです。
介護施設の利用にあたっては、家族信託などの手法を用いて、資産凍結リスクへの対応を考えなければなりません。
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その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。
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