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介護を機に、実家の売却を検討する方は多いです。
しかし、実家の売却には落とし穴もあります。
実家の不動産価値によっては税金が発生し、親がすでに認知症の場合、法律上の難しい問題に直面する可能性もあるでしょう。
この記事では、実家の売却を検討している方に向けて、介護と実家売却にまつわる注意点や問題点を解説します。気になる方は、是非とも参考にしてみてください。
介護スタートのタイミングで、実家を売却したほうが良い理由を解説します。
タイミングを間違えると費用面で不利益を被るおそれがあるため、実家売却の判断には注意しましょう。
介護スタート時の実家売却で、介護費用をカバーできます。
入所する施設によっては、何百~何千万円単位の入所一時金が必要になります。
不動産の売却で潤沢な資金を確保できれば、入所できる施設の幅も広がるでしょう。
効率的に資産を活用できる点で、介護のタイミングでする実家の売却は、有効な手段といえます。
不要な不動産の売却は、維持費のカットに繋がります。
介護スタートのタイミングで、実家を売却すれば、固定資産税や火災保険などの削減が可能です。
誰も住まない家は、傷みやすくなりますし、盗難や放火のリスクもあります。
不動産の毀損は価値の下落にも繋がります。明確な目的のない所有は得策ではありません。
実家を売却してしまえば、維持費を削減でき売却代金を介護費用に充てることもできます。
介護費用のコストカットを目指す意味でも、介護開始時の実家売却は検討の価値があります。
介護スタートのタイミングで実家を売却しておけば、3,000万円の特別控除の適用が確実になります。
通常、不動産の売却により利益が生じる場合、売却利益は課税対象です。不動産の売却利益は譲渡所得となるためです。
しかし、実家(マイホーム)の売却に限っては、3,000万円の範囲で所得控除が適用されます。
例えば、実家の売却により、2,800万円の利益が生じても、税金はかかりません。
しかし、3,000万円の控除には期間制限があります。実家が空き家になってから、3年が経過すると、3,000万円の控除は受けられなくなります。
施設入居後に実家を放置し、いつの間にか3年が経過する可能性もあるでしょう。
介護スタートのタイミングで売却しておけば、3,000万円控除の機会を失うリスクを防げます。
実家の売却で利益が見込まれる場合、安易な所有はリスクを高める結果に繋がります。気になる場合は、事前に実家の不動産価値を調べておくと良いでしょう。
売却しても利益が生じない実家については、3,000万円の控除を気にする必要はありません。
実家を売却せずに放置すると、特定空き家に指定される可能性があります。
特定空き家に指定されると、自治体からの助言や指導を受けるようになります。
自治体の助言や指導に従わないと、最終的に固定資産税が値上げされるため、注意が必要です。
値上げがされると、3〜4倍の固定資産税増を覚悟しなければなりません。
介護スタートのタイミングで、実家を売却してしまえば、空き家にせずに済みます。
親が高齢になるほど、認知症リスクは高くなります。
認知症患者本人が所有する実家を売却するのは苦労を要します。
認知症になると、売買契約の有効な締結が難しくなるのです。契約締結に必要な意思能力が否定されるためです。
成年後見制度を利用して実家を売却する方法も考えられますが、時間がかかります。
また、成年後見制度を利用したとしても、必ずしも実家を売却できるとは限りません。不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要になるためです。
実家を売却したお金を介護費用に充てようと計画する場合、認知症リスクについてはより敏感になる必要があります。
認知症になる前の実家の売却は、不動産を動かせなくなる不都合の解消に繋がります。
介護スタートにともなう実家売却の方法を解説します。
実家売却の方法は複数ありますが、認知症が進行するほど、売却のハードルは高くなります。
親の意思能力が十分な場合、不動産の売却は難しくありません。子どもが親を代理して、不動産を売却すれば良いからです。
代理する際は、証拠として委任状を作成しておきましょう。
委任状の様式は特に決められていませんが、次の内容を盛り込むのが一般的です。
委任内容はできるだけ具体的に書きます。
心配であれば法律専門家に相談するのも良いでしょう。
なお、意思能力とは有効な意思表示ができる能力を意味します。契約成立には有効な意思表示が不可欠で、意思能力が欠けた状態でなされた契約は無効です。
認知症が進行し意思能力が欠けると、売買契約のみならず、委任契約(代理行為)までも無効となります。
認知症で親の意思能力を欠くと、子どもの代理による実家の売却は難しくなるでしょう。
すでに認知症が進行し親の意思能力が欠ける場合、通常の代理による不動産売却は難しいです。
意思能力の欠けた親の不動産を売却する方法として、成年後見制度が考えられます。
成年後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分な方をサポートするための制度です。
成年後見制度では、成年後見人が選任され成年後見人が本人の契約を代理できます。子どもが成年後見人に選任されれば、実質、子どもが親を代理して実家の不動産を売却できるでしょう。
しかし、成年後見制度の下で不動産を売却するには手間と時間がかかります。また、必ずしも売却が実現できる保証はなく、売却には家庭裁判所の許可が必要です。
ここでは、実家を売却するときの注意点を紹介します。
安易な実家の売却は、トラブルを招きかねませんので注意してください。
実家の売却にあたっては、親の意向を尊重する必要があります。
自分たちの都合で、勝手に判断しないようにしましょう。
実家の売却が、明らかに親の利益に繋がる判断であったとしても、心理的な問題は常につきまといます。
実家の売却を思い出を捨てる行為と考える親もいるかもしれません。主観的な要素も配慮する必要があります。
また、親の意見に耳を傾ける姿勢は、適切な施設選びにも繋がります。施設には様々な種類やタイプがあり、施設選びを間違えると、施設での生活を楽しめません。
施設での生活を楽しめないと、実家の売却を後悔し、家族との関係にも悪影響を及ぼします。実家を売却する際は、できる限り親の意見に耳を傾けましょう。
実家の売却に先だって住民票を異動すると、その後の売却手続きで面倒を要する場合があります。
不動産売却には印鑑登録証明書が必要ですが、住民票の異動により、旧住所の印鑑登録は抹消されるためです。
印鑑登録抹消は、その後の売却手続きが滞る原因に繋がります。
住民票を異動させる際は、その後の売却手続きに与える影響を考慮しましょう。
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親が実家の売却に同意しない場合の対策を紹介します。
手段は複数あるため、代替案を示しながら、親と話し合う姿勢が大切です。
親が実家の売却に同意しない場合、賃貸に出す方法が考えられます。
賃貸物件として第三者に貸すことで、賃料収入が得られます。賃貸で収入が得られると、介護費用の負担軽減にも繋がるでしょう。
資産を有効活用できる点で、実家を賃貸に出すメリットは大きいです。
また、第三者の利用を通して空き家状態を防げます。空き家にすると建物が傷みやすくなるため、実家の保存状態を維持する意味でも、賃貸は有効な手段です。
親から売却の同意を得られない場合は、代替案として賃貸の話をしてみるのも良いでしょう。
子どもや孫など、親の代わりに家族が住む選択も考えられます。
家族の誰かが代わりに住めば、実家は空き家にならなくて済みますし、管理もたやすくなります。
また、実家への引っ越しにより、住居費のコストをカットにも繋がるでしょう。
子ども夫婦がそれまで住んでいた賃貸マンションを引き払い、実家に移り住めば、住居費が安くなります。浮いたお金を介護費用にまわせば、実質、介護費用を安くすることもできます。
実家に住むのが家族であれば、親が施設から実家に戻るのも簡単です。第三者への賃貸の場合、いざ親が実家に戻りたいと言い出したときに困ります。
親から売却の同意を得られない場合は、第三者に貸さずに、子どもや孫が住むことも考えられます。
リバースモーゲージは、まとまった介護資金が必要な場合に有効です。
実家の売却金を介護費用に充てたいにもかかわらず、親の同意を得られないケースがあります。
施設への入所には、何百~何千万円単位の初期費用がかかるケースも珍しくありません。実家を売らない限り、費用の捻出は困難であるケースは多々あります。
その場合、リバースモーゲージの検討がおすすめです。
リバースモーゲージは、実家を担保にお金を借り、親の死亡時に実家の売却金を返済に充てる方法です。親の死亡時に実家を売却することで、資金を確保しつつ、親の死亡まで実家を残すことができます。
リバースモーゲージを有効活用すると、資金確保と実家の確保の、両方が可能になります。
ただし、リバースモーゲージで借りられるお金は、売却で得られるお金に比べて、低額になりやすいです。
実家を残すとなると、空き家であっても固定資産税などの維持費がかかります。
空き家のまま放置し、いずれ手放すことが決定しているのであれば、売却を選ぶほうが金銭的に見合う可能性があります。
親が実家の売却を拒む場合の対策として、任意後見制度の利用も考えられます。
任意後見制度は、認知症になる以前の段階で本人が任意後見契約を締結し、将来の財産の管理を任意後見人にまかせる方法です。
任意後見制度は、複数ある成年後見制度のなかでも自由度の高い類型に分類されます。
法定後見制度に比べると、不動産の売却はしやすいといえるでしょう。
ただし、任意後見制度を利用する場合、任意後見監督人が選任されます。家族が任意後見人に選ばれたとしても、任意後見監督人が監督するため、自由度の点において家族信託に劣ります。
また、任意後見の場合、任意後見監督人に支払う報酬が発生するのも難点です。
親が実家の売却に同意しない場合のスマートな解決手段は、家族信託の検討です。
家族信託は、財産の管理を特定の誰かにまかせる手続きです。
管理する人を子どもとして、実家の管理を子どもにまかせれば、適切なタイミングで実家を売却できます。今は同意を得られずとも、親の気持ちが変わったタイミングで、スムーズに実家を売却することも可能です。
家族信託であれば、認知症が進行した後でも問題なく実家を売却できます。裁判所の許可も不要ですし、任意後見制度と異なり任意後見監督人もつきません。
実家の売却について親の同意を得られない場合は、実家を信託財産に含める家族信託契約で解決に繋がる可能性があります。
ファミトラをご利用いただいたお客様の中では、親やおじを介護施設へ入居させるために家族信託の仕組みを利用して自宅を売却できるようにされた方の事例もございます。
ここでは、実家の売却に関して、よくある質問に回答します。
実家の売却により利益が生じた場合、利益の部分(譲渡所得)について、所得税及び住民税が課されます。
具体的な税率は、実家の所有期間によって変わります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% |
5年超 | 15.315% | 5% |
10年超(*) | 10.21% | 4% |
*譲渡所得6,000万円以下の部分に適用
なお、譲渡所得への課税については、実家の転居後から3年以内の売却であれば、3,000万円の所得控除が受けられます。
譲渡所得への課税が気になる方は、事前に実家の不動産価値を調べておくと良いでしょう。
売却益のない実家については、譲渡所得への課税を気にする必要はありません。
家族信託で実家を管理するメリットは、不動産の売却が容易になる点です。
親が認知症になった場合、家族信託は特に効果を発揮します。成年後見制度の手続きを踏まずに、実家を売却できるためです。
成年後見制度と異なり、家族信託をしていた場合は、裁判所の許可を得ずに実家を売却できます。
実家を有効活用したい方は、家族信託がおすすめです。
とりわけ実家の売却代金を介護費用に充てたいと考える方にとっては、家族信託は大きな助けとなるでしょう。
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親の介護をしている方で、将来的に実家の売却を検討している方は、意思能力の有無に注意しましょう。
認知症の進行で意思能力が否定されると、実家の売却が難しくなります。仮に売却できたとしても、思いのほか手間と苦労を要します。
認知症によるリスクを避ける方法としては、早期の実家売却が考えられるでしょう。
しかし、親の意向により今すぐ実家を売却できないケースもあります。その際は、家族信託の検討がおすすめです。家族信託により、柔軟な実家の処分が可能になるでしょう。
介護施設の資金対策として家族信託を利用し実家の売却を考えている場合は、ぜひファミトラにご相談ください。
ファミトラでは相談者とその家族の想いや状況・要望を整理し、ファミトラの関連不動産会社のファミトラリアルティと連携しながら、弁護士や司法書士等の専門家との間に立って、家族信託契約の手続きが順調に進むよう、調整を行う役割を担う専門家(家族信託コーディネーター)が、無料相談を受け付けています。
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