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「代理出金機能付信託って何?家族信託と何が違うの?」
認知症による資産凍結対策を考えている方の中で、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
代理出金機能付信託も家族信託も、認知症等で意思能力が喪失してしまった方に代わって、財産の管理などを行うことができる信託です。
そこでこの記事では、代理出金機能付信託の仕組みや、大手信託銀行が提供する実際のサービスについてご紹介します。
また記事の後半では、家族信託との違いについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
代理出金機能付信託とは「本人が認知症や入院などでお金の管理が難しくなった場合に、あらかじめ登録した代理人が、本人の代わりに出金することができる信託サービス」のことです。
代理人は、本人の医療費、介護費、住居費、税金・社会保険料などの支払いのためにお金を引き出すことができます。
主に、信託銀行等の金融機関が提供しています。
なお、金融機関にもよりますが、基本的には認知症が発症し意思能力が低下すると申し込むことができません。
ここからは、各信託銀行が提供している「代理出金機能付信託」について、それぞれのサービス概要や仕組み、費用などを詳しく説明していきます。
本人が認知症や入院などでお金の管理が難しくなったとき、代理人はスマートフォンアプリを用いて、信託された金銭の払出請求を行うことができます。払出請求を行うと、代理人以外の家族ら閲覧者に金額や内容が通知され、一定期間(みまもり期間)経過後に引き出すことができるようになります。
三菱UFJ信託銀行「つかえて安心」 | |
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代理人の範囲 | 契約者の3親等以内の親族、弁護士、司法書士から1名を指定することが可能です。 |
閲覧者の範囲 | 契約者、代理人、後見人が任意に指定することが可能です。範囲や人数に制限はありません。 |
信託金額 | 200万円以上。 |
信託金の払出方法は2つあります。
契約者または代理人が、スマートフォンアプリで領収書等を撮影のうえ、払出請求内容を入力し、信託金の払出請求を行うことができます。資産管理の透明化のため、払出請求があった場合は、閲覧者全員にアプリ等で通知され、みまもり期間(払出請求日の翌日から5日間または2営業日のいずれか長い期間)経過後に予め指定された口座に信託金が払い出されます。
また、閲覧者を含めた関係者はアプリで、払出請求内容や入出金履歴を閲覧・ダウンロードが可能です。
毎月1回、指定の金額が指定した口座に自動的に払い出されます。
三菱UFJ信託銀行は、提出された領収書等の真正さおよび内容の真実性もしくは払い出された信託金が契約者のために使われたものか等を確認・調査する義務を負いません。
詐欺被害などに備えて、本人の払出請求内容を都度確認する同意者と、体力や判断能力が低下した時に本人に代わって払出が可能な代理人を指定します。また、代理人の同意者も任意に定めることができます。その場合、代理人は代理人の同意者の同意を得て、信託金を出金することができます。
三井住友信託銀行「人生100年応援信託〈100年パスポート〉」 | |
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同意者の範囲 | 契約者の 4 親等内の親族または任意後見監督人の中から1名を指定することが可能です。 |
代理人の範囲 | 契約者の 4 親等内の親族、弁護士・司法書士・税理士、または一般社団法人安心サポートの中から2名まで指定することが可能です。 |
代理人の同意者の範囲 | 契約者の4 親等内の親族の中から代理人1名に対し1名を指定することが可能です。 |
信託金額 | 500万円以上。 |
信託費用 | 信託設定時 ・信託金額に対し、1.10% ・最低額77,000円、上限額1,100,000円 信託期間中 【管理報酬】月額5,500円〜8,800円 【運用報酬】運用収益から信託元本と予定配当率に基づき計算してお支払いする収益金総額等を差し引いた金額 |
信託金の払出方法は4つあります。
毎月1回、指定の金額が指定した口座に払い出されます。
同意者の同意を条件に、契約者の請求に従い信託財産から金銭が
契約者が認知症などで意思能力を喪失してしまった際に、代理人が払出請求することができます。
毎月1回、指定の金額が契約者または代理人に払い出される年金型と、代理人の請求に従い、信託財産から金銭が払い出される目的内随時型があります。
目的内随時型には代理人の同意者を設定することができ、その場合は代理人の同意者の同意を条件に信託金を払い出すことが可能です。
相続発生後、遺産分割協議前に、あらかじめ指定した相続人に500万円まで払い出されます。
代理人による信託金の払出は、契約者の医療、介護、住居に関する費用、納税資金および社会保険料に使う場合のみに限られます。払出請求の際は、費用の請求書または領収書等の原本の提出による確認が行われます。
代理人が払出請求を行うと、医療費や介護費などについては、直接みずほ銀行から医療機関や介護施設に支払うことができます。また、次順位の代理人を指定することができ、代理人やご家族がどなたも死亡などにより不存在となった場合は、本人の居住する市区町村(地域包括支援センター)に成年後見制度の利用などの検討を依頼します。
みずほ銀行「認知症サポート信託」 | |
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代理人の範囲 | 契約者の3親等以内の親族、弁護士・司法書士の中から1名を指定することが可能です。 |
信託金額 | 500万円以上。 |
信託費用 | ▼信託設定時 ・信託金額に対し、1.10% ・上限額2,200,000円 ▼信託期間中 【管理報酬】月額3,300円〜5,500円 【運用報酬】信託金の元本に対し、上限(年6%)・下限(年0.01%)の範囲内 |
信託金の払出方法は3つあります。
代理人が請求書・領収書を提出し、それらをみずほ信託銀行がチェックして医療機関、介護施設等、または契約者か代理人の口座に払い出されます。
一定の周期で、指定の金額が指定した口座に払い出されます。
一定の周期で、受け取りの年金資金等を契約者の口座から振り替え、信託財産に定額で追加されます。
お支払いチェックサービスでは、請求書または領収書1件あたり10万円以上の医療費、介護費、税金・社会保険料が対象です。
提出された請求書等はみずほ信託銀行が記載事項を確認したのち、払い出されます。
※なお、成年後見人等が選任された場合や死亡した場合などの詳しい仕組みについては、各信託銀行のリンク先のウェブサイトをご覧いただくほか、各信託銀行にお問い合わせください。
こうして見ると、代理出金機能付信託もいいかもな!
では、代理出金機能付信託のメリット・デメリットをしっかり抑えましょう!
代理出金機能付信託を利用する上で、メリットとデメリットがあります。ここでは、代理出金機能付信託のメリット・デメリットを3つずつ紹介します。
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代理出金機能付信託についてよくはわかったけれど、家族信託とはどう違うのかしら?
ここまでは代理出金機能付信託の概要についてご説明しました。ここからは、代理出金機能付信託と家族信託との違いについて解説していきます。
受託者とは、委託者から財産を委託されて、管理・運用する人のことです。
代理出金機能付信託では、受託者は信託銀行などの金融機関になる一方で、家族信託では、自分が財産を託したいと思うような「信頼できる家族」になります。
「家族内で資産の管理を完結させたい」という人は家族信託を利用すべきですが、代理出金機能付信託では、第三者による払出請求の監督や資産管理の負担の軽減が可能です。
代理出金機能付信託は、信託できる財産が金銭のみという特徴があります。
また、「代理出金機能付信託の例」に記載のとおり、代理出金機能付信託では、各信託銀行において、信託する金銭の最低金額が数百万円以上と定められている場合が多いです。
一方で、家族信託は、信託できる財産の範囲に特段制限がありません。金銭をはじめ不動産や未上場株など、様々な財産の信託が可能です。
そのため、家族間で多様な財産の信託を行いたい場合や少額の信託を行いたい場合は家族信託を、金銭のみの認知症対策で十分な場合は代理出金機能付信託を選ぶとよいでしょう。
代理出金機能付信託では、本人に必要な医療費や介護費など、本人の利益に適合することが明らかである場合についてのみ、払出請求をすることが可能です。
そのため、いざという時のお金は確実に用意することができますが、普段の生活費や使途を限定しない払出は行うことができません。
一方、家族信託では、委託者と受託者の取り決めの範囲内であれば自由に財産を管理・運用・処分できます。
資産運用や相続税対策、事業承継対策など、柔軟な財産管理を行いたい場合は、汎用性の高い家族信託がおすすめです。
それぞれの違いをまとめた比較表はこちらです。
比較項目 | 代理出金機能付信託 | 家族信託 |
---|---|---|
受託者 | 信託銀行などの金融機関が受託者になる | 信頼できる家族が受託者になる |
信託できる財産 | 金銭のみ | 信託できる財産の範囲に特段制限がありません。金銭をはじめ不動産や未上場株など、様々な財産の信託が可能です。 |
財産の使用用途 | 本人に必要な医療費や介護費など、本人の利益に適合することが明らかである場合についてのみ、払出請求をすることが可能。 | 委託者と受託者の取り決めの範囲内であれば自由に財産を管理・運用・処分できます。 |
代理出金機能付信託も家族信託も、認知症対策の1つであることに変わりはありませんが、利用する目的に応じて使い分けることが大事です。
また、代理出金機能付信託については、各信託銀行で最低信託金額や信託費用など、少しずつサービス内容が変わっているので、利用を検討する際はしっかり確認するようにしましょう。
ただし、認知症になってからこれらの制度を利用することは難しいので、早めの対策が大事です。
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