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認知症の初期症状の特徴やサインには、どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、認知症の進行段階や種類別の特徴についても具体例を挙げて解説しています。
認知症の初期症状のサインについてもわかりやすく紹介しています。サインを見逃さないためにも、本記事を参考にしてください。
認知症とは、脳組織が損傷を受けることによる器質的な変化で、記憶力、認識力、判断力などが衰える病気です。
認知症には2種類の症状があります。
脳自体の器質的変化による、記憶障害、判断力の低下などの中核症状と、中核症状とその他の要因から随伴して生じる、不穏、幻覚、妄想などの周辺症状です。
ゆっくりと進行し徐々に脳の働きが低下するのが特徴で、前兆、初期、中期、末期の順に4つの段階があります。
以下で、詳しく解説します。
軽度認知障害とは、正常な状態と認知症の中間の状態です。物忘れの症状はあるものの、認知症とは診断できない状態をいいます。
軽度認知障害の定義は下記のとおりです。
年間で軽度認知障害の方のうちの約10〜15%が認知症に移行するといわれています。
軽度認知障害は英語でMCI(Mild Cognitive Impairment)と呼ばれます。軽度の記憶障害はあるが、一般的な認知機能は問題がなく、生活に支障のない状態です。
認知症の一歩手前の状態といえます。
あらゆる認知症に移行する可能性がありますが、必ずしも認知症に進展するわけではありません。いったん低下した認知機能が回復する場合もあります。
そのため、早期発見が重要になってきます。
認知症の初期によく見られる症状に、記憶障害があります。
単なる物忘れは誰にでもあることですが、あまりに頻繁に起こる場合は、認知症の初期症状の恐れがあります。
また、怒りっぽくなったり、集中力が低下したり、時間や場所に対する感覚が狂ったりする場合は要注意です。
例えば、以下のような場合は気を付けた方がいいでしょう。
中期になると記憶障害が進み、日常生活に支障が出てきます。
1人で日常生活を送ることが困難になり、他人のサポートが必要になります。
中期によく出る症状は、以下のとおりです。
末期になると記憶障害はもとより認知機能が低下し、さらに意欲の低下が見られるのが特徴です。
自発的に何かをしたり、言葉を発したりできなくなります。
身体機能の低下も著しく、歩行困難や寝たきりになるケースもあります。
末期の主な症状は以下のとおりです。
以下では、認知症に見られる代表的な6つの初期症状を詳しく解説します。
誰でも高齢になれば物忘れが多くなります。ただし、あまりに頻度が高くなれば認知症の初期症状が疑われます。
以下のような場合には注意が必要です。
上記の症状が続くようなら、早めに医療機関の「物忘れ外来」などで専門医の診察を受けるようにしましょう。
認知症が原因で集中力の低下に繋がる場合もあります。
以下のような症状があれば注意しましょう。
認知機能の低下は、理解力や判断力の低下に繋がりスピードも遅くなります。
理解力や判断力の低下が見られるのは下記のような場合です。
判断力の低下は判断速度の低下です。外出時には危険が伴うようになるので、家族や友人と一緒に行動した方が安全です。
精神的な落ち込みも認知機能の低下によるものです。落ち込む頻度が増加したり、少しのことで混乱してしまう回数が増えてきます。
以下のような症状があれば、注意して見守るようにしましょう。
場所や時間の感覚がわからなくなり、日常生活を営む妨げになってしまいます。
認知症が進行すると徘徊などの症状が起こりますが、初期症状の段階で現れる方もいるため注意して見守るようにしましょう。
近所なのに道に迷うようになると、徘徊する段階も遠くないかもしれません。
普段どおりの生活を長く送れるようにサポートしましょう。
認知症の初期症状の1つに人柄の変化が挙げられます。
認知機能の低下に伴い感情を制御する機能も低下して、自身の感情のコントロールが難しくなる場面が多くなります。
人柄の変化と合わせて、下記のように周囲の人に接してしまうこともあるようです。
本人の性格などに問題があるのではなく、認知機能の低下により起こっていることを理解して接することが大切です。
認知症には多くの種類がありますが、主なものは以下の4つです。
アルツハイマー型認知症は、βアミロイドやタウたんぱく質が神経細胞内に蓄積し、神経細胞の働きが衰え発症します。
認知症の約60%がアルツハイマー型認知症で、原因は十分にわかってはいません。
症状がゆっくり進行するのが特徴ですが、急激に悪化する場合もあります。
初期症状は軽度の記憶障害ですが、進行とともに時間や場所を認識できなくなる見当識障害が発症します。
重度になると家族の顔もわからなくなり、身体機能が衰え寝たきりや嚥下障害になるケースも少なくありません。
やがて、食事もとれなくなるようになってしまいます。
現在でも根本的な治療薬はありません。しかし、進行を遅らせることはできるので、早期発見が重要になります。
血管性認知症は、脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害によって発症する認知症です。
アルツハイマー型認知症に次いで多く、約30%を占めます。
血管性認知症は、脳梗塞などが再発するうちに認知症の症状が現れるのが一般的です。
症状はアルツハイマー型認知症とほぼ同様ですが、ゆっくり進行するアルツハイマー型と違い、一進一退を繰り返すのが特徴です。
認知機能が低下しても、理解力・判断力が保たれ、いわゆる「まだら認知症」となるのも特徴です。
レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体というたんぱく質ができることにより、脳神経がダメージを受けやがて死滅することで発症します。
レビー小体型の特徴は、幻視、または、筋肉の強ばりや手足の震えなどパーキンソン病と似た症状が起こります。
根本的な治療はありませんが、進行を遅らせることは可能です。
前頭側頭葉変性症は、脳の前頭葉と側頭葉の神経細胞が変性する認知症の総称です。
最も大きな特徴は人格が変わることで、別人になったかのように性格が変わってしまうことがあります。
また、社会性を失ってしまうことも多く、反社会的な行動に出ることもあります。
暴言や暴力など介護が難しくなることも珍しくありません。
40代から50代と比較的若年層が発症することが多く、進行が速いのも特徴です。
病状が進行すると自発性が低下し、言語障害を発症するケースもあります。
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認知症の進行はその型などにより、一人ひとり異なります。状況によっては、症状が一気に進行する場合もあります。
その主な原因は、以下の2つです。
認知症が進行すると、見当識障害などにより、自分がどこにいるのかわからないなど、認知症患者は不安を感じやすくなります。
ここに過度のストレスを与える環境が加わると、不安が助長され症状悪化へと繋がります。
ストレスを与える原因として挙げられるものは以下のとおりです。
認知症になると、健常者と同じように行動できなくなります。
それに対して怒る・叱るなどの不快な刺激を与えると、一気に症状が悪化する可能性があります。
脳への刺激の減少によっても、認知症は進行する可能性があります。
脳への刺激減少の要因として考えられることは、以下の2つです。
認知症の発症により起こるトラブルに、資産凍結があります。
これは、詐欺などの犯罪による預金の不正な引出しや、不要な高額品の購入などを防止し、認知症により判断力が低下した人の資産を守るためです。
資産が凍結されると、医療費のための預金の引き出しや介護の契約などができなくなります。そのため、家族が費用を立て替えたり、成年後見人を選任したりする必要があります。
認知症発症による資産凍結による不利益は、前述のとおりです。
認知症により判断力がなくなると、意思能力がないと判断されることがあります。
遺言や贈与をはじめとする契約などの法律行為は、意思能力のない者が行なった場合、無効になります。
例えば、介護をしてくれている長男の嫁に、財産の一部を残す遺言書を作成したとしましょう。
ところが、本人が亡くなったとき、他の相続人から「遺言はすでに認知症で意思能力のない時期に作成されたものだから、無効である」との主張をされる可能性があります。
このようなトラブルを避けるために、認知症が発症する前に、資産凍結や相続への対策をすることが必要です。
資産凍結・相続対策には、以下の理由から家族信託がおすすめです。
ただし、家族信託は契約なので意思能力が必要となります。認知症発症以降は原則として契約できません。
認知症の初期症状というと、物忘れや徘徊などを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、認知症の初期症状はそれだけではありません。
ここでは、認知症に気付くポイントを解説します。
加齢による物忘れと認知症による記憶障害は一見似ているようですが、明確な違いがあります。
それは、加齢による物忘れは記憶自体は失われていないのに対し、認知症による記憶障害は記憶自体を失っていることです。
加齢による物忘れの場合、物忘れを自覚していますし、何かきっかけがあれば思い出せます。
これに対して、認知症による記憶障害は、物忘れをしている自覚がありません。体験したこと自体を忘れてしまっていて、きっかけがあっても思い出せません。
初期には、本人も記憶障害による失敗などを認識できますが、進行すると自分の症状を自覚できなくなっていきます。
認知症では早期発見が大切です。
家族の方は、以下の様な日常生活の変化が起きていないか気を付けましょう。
普段の何気ない会話の中から、認知症の方の特徴を挙げることが可能です。
認知症と診断を受けるまでに2年ないし3年程度経過しているケースもあります。
認知症の初期症状のサインを捉えて、医療機関を受診するようにしましょう。
単なる物忘れと認知症の初期症状を混同しないことが大切です。
早期の適切な受診により軽度認知障害(MCI)の段階で発見できれば、健康な状態に回復する可能性もあります。
外出するときでも身なりに気を遣わなくなる方もいます。
軽度認知障害(MCI)や認知症の初期症状の段階では、脳の機能の衰えにより周囲への興味や意欲低下が見られます。
結果として、外出するときに身なりに気を遣わなくなり外出そのものに興味を示さなくなる方もいるようです。
遂行力は認知機能の1つです。機能が低下すれば物事を段取り良く進めることが困難になります。
家事などは複数の作業を同時並行して、時間を無駄にしないようこなすことが特徴です。
炊事をするときには、フライパンを使いながら手際よく洗い物をすることなどの並行作業が求められます。
認知機能の低下により、水道水を止め忘れたりフライパンを焦がすようなことが多くなり手の込んだ料理作りが困難になります。
仕事を続けていたとしても、記憶力や遂行力が弱まることで仕事のミスは多くなりがちです。
同じ失敗を繰り返すようになり、周囲に迷惑をかける可能性も高まります。
新たなことを学習する意欲も減退し、最新の機器は使いこなせなくなります。
そうなると、仕事への意欲は低下するでしょう。本人だけではなく、周囲の方も上記のサインを見逃さないことが大切です。
高齢者が怒りっぽくなったという話はよく聞きますが、怒りっぽくなるのは認知症の初期症状の1つです。
認知症により前頭葉が萎縮します。前頭葉は感情をコントロールしているため、自身の気持ちを制御できずに声を荒げるなど怒りやすくなる傾向にあります。
周囲の状況が理解できずに気持ちが混乱し、怒りという感情に繋がる場合も認知機能が低下しているために起こり得る現象の1つです。
認知症の方は、すり足で歩いたり前に屈んで歩きがちです。
脳が認知症の影響を受けるために、体勢が悪くなってすり足で歩幅が狭く、前屈みになる傾向にあります。
不安定な歩き方であるため、平坦な道なのに転んだりつまずいたりすることもあります。
すり足と前屈みで歩くことは、認知症の初期症状の特徴です。
親や周囲の方を今一度観察し、歩き方が変わったときは声をかけて医療機関への受診に繋げましょう。
認知症のセルフチェックには、いくつか種類があります。
セルフチェックは、医学的な診断の代わりになるものではありませんが、認知症を早期発見する手がかりになります。
認知症を初期の段階で発見できれば、症状の進行を遅らせることができるので、早期発見が重要です。
セルフチェックは、10問前後の質問に答え、それを採点して、判断します。
質問の内容は主に、記憶力に関するもの、認識力に関するもの、性格の変化に関するものなど、認知症の典型的な症状に関するものになっています。
インターネットで手軽にできるものもあるので、気になった方はぜひ試してみましょう。
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認知症を発症した場合、原則として、家族信託の契約ができません。
家族信託は契約なので、本人に意思能力があることが前提だからです。
しかし、認知症になった人の全員が、意思能力がないわけではありません。
意思能力があると認められれば、家族信託契約ができます。
意思能力の有無の判断は、医師の意見や契約締結の合理性・必要性など様々な事情を考慮してなされます。
認知症の初期段階では、ケースバイケースで意思能力が認められる場合もありますが、中期以降まで進行すると認められにくくなります。
家族信託ができない場合、財産管理は成年後見制度を利用することになります。
認知症の初期症状が疑われた場合には、迷うことなく病院の物忘れ外来を早めに受診すべきです。
物忘れ外来は、認知症などを専門に診察しています。
物忘れ外来が近くにない場合には、神経内科や精神科などに認知症の専門医がいる場合もあります。
認知症の初期症状の疑いのある本人は、得てして病院に行きたがらないものです。
まずはかかりつけの主治医に相談すると、必要であれば専門医のいる医療機関を紹介してもらえます。
かかりつけ医がおらずどの病院に行くべきか迷っているときは、同様の相談を受けている市区町村の地域包括支援センターに相談すると医療機関を紹介してくれるでしょう。
現在、認知症の進行を止める、あるいは根本的に治療する方法はありません。
しかし、治療やリハビリなどで症状の進行を遅らせる事は可能です。
特に、軽度認知障害(MCI)段階では、早い段階で適切な治療やリハビリを行なうことで、発症を遅らせる可能性があります。
進行を遅らせるには、薬物療法と非薬物療法の2つの方法があります。
薬物療法とは、認知機能改善薬で中核症状を抑え、向精神薬や睡眠薬で周辺症状を緩和するものです。
非薬物療法とは、リハビリテーションのことで、脳を活性化させる認知機能のリハビリテーションや家事などを行なう生活遂行能力のリハビリテーションなどがあります。
認知症の初期症状と見分けがつきにくい病気としては、うつ病が1番に挙げられます。
うつ病では物忘れの症状が現れることもありますが、認知症における記憶障害とは一線を画すものです。
うつ病の物忘れは、新たな事項を覚える「記銘力」の低下により起こります。
うつ病で苦しんでいる間は、本や新聞をよんでも頭に入りづらいものです。
一方、認知症の記憶障害とは、既に知っているはずの事柄の記憶そのものが抜け落ちた状態をいいます。
つい数時間前に食べた朝食のメニューが思い出せないことに加えて、朝食を摂ったかどうかの記憶がありません。
うつ病の他には、意識が曖昧な状態で興奮するなどして本来は見えないものが見える「せん妄」が挙げられます。
せん妄も認知症の初期症状と見分けがつきにくい病気の1つです。
現在の症状が認知症の初期症状か見分けがつきにくい場合には、専門医の診察を受けるようにしましょう。
本記事では、認知症の初期症状の特徴やサインについて具体例を挙げて解説しました。
認知症にも、正常な状態と認知症の中間の「軽度認知障害」から、末期の「重度」のものがあります。
認知症の初期症状のサインに気が付けば、早めに専門医を受診し適切な治療を受けることで低下した認知機能が回復する可能性もあります。
認知症が軽度であれば、相続対策として家族信託を利用することができます。家族信託は認知症対策としても有用な自由度の高い財産の管理が可能です。
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化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。
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