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「認知症カフェ」というカフェをご存じでしょうか。認知症カフェは、認知症の本人やその家族はもちろん、誰でも利用できるカフェです。認知症の話題に限らず、気軽に話ができる場として利用されています。
本記事では、認知症カフェとは何か、認知症カフェでどんなことをするのか、認知症カフェのメリット・デメリットは何か、などを詳しく解説します。
認知症カフェの利用を検討されている方にとって参考になる記事となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
「認知症カフェ」についてまだご存じない方もいらっしゃると思います。ここではまず認知症カフェの始まりの経緯や、認知症カフェの要素・特徴などを詳しく解説します。
「認知症カフェ」は、厚生労働省などが主導する「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)の中で推進される「7つの柱」の施策のうちの1つです。「認知症の人の介護者への支援」において、設置が推進されているカフェをいいます。
なお、新オレンジプランという施策の名前に由来して、認知症カフェは別名「オレンジカフェ」とも呼ばれています。
参考:認知症施策推進総合戦略
「認知症施策推進総合戦略」では、「「認知症の人の介護者への支援」の中で、「お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進し、認知症の人の介護者の負担軽減を図ります。」と記載されています。
つまり、認知症カフェは、認知症患者を中心とした関係者がお互いを理解し合う場として設置され、認知症の人の介護者の負担軽減を図ることを目的としているのです。
認知症カフェは、認知症患者やその家族、介護士などの関係者が情報交換などを行うことができる場として想定されています。
もっとも、認知症の関係者でなくとも地域住民の方なども自由に利用可能です。
公益社団法人 認知症の人と家族の会が発行する「認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書」では、認知症カフェとはどんな場であるかについて、以下の7つの要素があるとしています。
【要素1】認知症の人が、病気であることを意識せずに過ごせる。
【要素2】認知症の人にとって、自分の役割がある。
【要素3】認知症の人と家族が社会とつながることができる。
【要素4】認知症の人と家族にとって、自分の弱みを知ってもらえていて、かつそれを受け入れてもらえる。
【要素5】認知症の人と家族が一緒に参加でき、それ以外の人が参加・交流できる。
【要素6】どんな人も自分のペースに合わせて参加できる。
【要素7】「人」がつながることを可能にするしくみがある。
引用:認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書
「認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書」では、認知症カフェの7つの要素を満たしており、実際に認知症カフェとして機能している場合、以下の10の特徴が導き出されるとしています。
引用:認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書
- 認知症の人とその家族が安心して過ごせる場
- 認知症の人とその家族がいつでも気軽に相談できる場
- 認知症の人とその家族が自分たちの思いを吐き出せる場
- 本人と家族の暮らしのリズム、関係性を崩さずに利用できる場
- 認知症の人とその家族の思いや希望が社会に発信される場
- 一般住民が認知症の人やその家族と出会う場
- 一般の地域住民が認知症のことや認知症ケアについて知る場
- 専門職が本人や家族と平面で出会い、本人家族の別の側面を発見する場
- 運営スタッフにとって、必要とされていること、やりがいを感じる場
- 地域住民にとって「自分が認知症になった時」に安心して利用できる場を知り、相互扶助の輪を形成できる場
認知症カフェは決まった運営主体があるわけではなく、様々な団体によって運営されています。以下では、認知症カフェのタイプとその特徴について説明します。
社会福祉法人が運営する認知症カフェの特徴は、参加費が安いことです。参加費は利用料と飲み物代を含めて無料から100円というカフェが多いので、気軽に参加しやすいでしょう。
場所は社会福祉法人の施設または公民館などで開催され、ゲームなどの企画が催されることもあります。
市町村が運営する認知症カフェも社会福祉法人と同様、参加費が安いことが特徴で、参加費は無料のところがほとんどです。
市町村の図書館などの施設によって月1~2回程度開催されています。図書館では本の朗読会が行われたりするなど、施設の特色を活かした企画が催されることが多いです。
家族会が運営する認知症カフェは主に認知症患者の家族同士の交流を目的としています。
参加費は無料~500円程度で、飲食を楽しみながら語り合う場が提供されることが多いです。
場所は各家族が持ち回りによって自宅で開催されることが多く、アットホームな雰囲気が特徴です。
NPO法人が運営する認知症カフェは、NPOの施設や一般のカフェで行われることが多く、参加費は飲み物代として500円程度のことが多いです。
認知症患者の他、地域の高齢者が語り合う場として運営されています。
公的な機関の他、薬局やカフェなどの民間企業が運営する認知症カフェも存在します。参加費は無料~1,000円程度で、その企業が運営する店舗やカフェなどを提供して行われます。
認知症カフェの運営主体によって行われることは様々ですが、以下では主な活動について説明します。
認知症カフェの要素の1つとして、認知症の人と家族が一緒に参加でき、それ以外の人が参加・交流できることが挙げられます。このため、参加者同士が自由なコミュニケーションができることは、認知症カフェを運営するために必須です。
運営主体に関係なく、認知症カフェでは認知症の人、その家族、介護士や社会福祉士などの関係者が自由にコミュニケーションができる場が設けられています。
認知症の人と家族にとって、自分の弱みを知ってもらえ、かつそれを受け入れてもらえる環境が整っていることが挙げられています。
認知症カフェでは、認知症の人やその家族が持つ悩みや介護の相談を参加者同士で自由に行うことができます。また、カフェを運営する団体によっては介護職員の人なども参加していますので、認知症に詳しい専門職の人に相談することも可能です。
認知症カフェを運営する団体によっては、イベントを開催して参加者間の交流を図ったり、参加者同士で運動をする企画があったりします。単に話し合う場を提供するだけではなく、各種イベントが開催されることが多いため、参加者同士が交流しやすい環境が整っています。
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認知症カフェは認知症の人やその家族、関係者にとって様々なメリットをもたらします。以下では、認知症患者本人にとってのメリットと、家族などの介護者にとってのメリットに分けた上で、それぞれのメリットを具体的に説明します。
認知症の人は、人の名前を忘れてしまったり同じことを何度も言ったりする症状が現れることが多く、周りの人とコミュニケーションが取りづらくなります。そうすると、自宅にこもりがちになり、ますます人との接触が減っていきます。
人とのコミュニケーションが減ると、認知症が進行してしまう可能性があるのです。
認知症カフェで認知症の人同士やその家族とコミュニケーションを取ることにより、心の健康が保たれるでしょう。
また、認知症カフェのイベントに参加することによって手を動かしたり体を動かしたりすることができるため、認知症の進行を抑制できる可能性があります。
このように、認知症カフェに参加することで、認知症患者本人にとって心と体の健康が保たれ、その結果認知症の進行を抑制できる可能性があるのです。
認知症患者を介護する人にとっては、日々の介護の疲れや認知症患者に対する悩みなどを打ち明けられる場が少ないため、精神的に疲弊してしまうことも多いでしょう。
認知症カフェは、認知症患者本人の他、その家族や介護職員、社会福祉士なども参加しています。共通の悩みを持つ家族同士が話し合うことで、介護者の悩みを解消できる可能性があります。
認知症カフェがもたらすメリットは様々ですが、一方でデメリットや課題も存在します。以下では、認知症カフェのデメリットや課題を4つ挙げた上で、それぞれ説明します。
認知症カフェの参加費は無料や100円といったところが多く、ランチを提供するカフェのような場合であっても1,000円程度です。認知症患者やその家族に高額の参加費を負担させてしまうと参加者が集まらなくなってしまうため、参加費は無料または低額としている運営団体がほとんどです。
認知症カフェを運営するためには、運営側が場所の提供のための費用や人件費の負担を強いられるため、運営資金負担が大きいことがデメリットであり今後の課題です。
この課題を解決するためには、自治体が補助金を出すなどして資金的な援助を行っていくことが必要でしょう。
日本では、2015年に厚生労働省などが主導する「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)の中で認知症カフェの設立と推進が進められました。その結果、現在は日本全国に広がりを見せていますが、まだまだ認知度や理解度が低いのが現状です。
認知症カフェの認知度や理解度を高めるためには、「認知症カフェ」がそもそもどういったことを行う場なのかを発信していくことが重要です。そのためには行政のサポートや、すでにノウハウを持つ運営団体が他の団体と協力できる環境を整える必要があります。
自治体によっては認知症カフェに補助金を出してくれるところがありますが、補助金が出ない自治体もあります。このように、自治体ごとに認知症カフェに対する温度感はバラバラであるのが現状です。
このことが地域間での取り組みの差に繋がってしまっています。地域間での取り組みの格差を解消するためには、自治体間の連携をしやすくして認知症カフェへの理解を深めるとともに、運営マニュアルの共有などを進めていく必要があります。
認知症カフェはそれぞれの運営主体が独自のルールで運営をしており、運営マニュアルや運営ガイドラインといった共通のルールは存在しません。
認知症カフェを開催できるだけの運営ノウハウを持っている団体や企業が少ないため、認知症カフェが広がらないという課題があります。
この課題を克服するためには、行政が運営マニュアルを提供したり、運営のサポートを行うことができる環境を整えていく必要があります。
認知症カフェは多くの運営団体によって日々開催されています。ご自身の家の近くの認知症カフェを見つけるには、「地域包括支援センター」に問い合わせてみると良いでしょう。
地域包括支援センターとは、市町村または市町村から法人が設置主体となって、福祉や介護などの側面から高齢者を支える総合的な相談窓口です。市町村のホームページに地域包括支援センターが主催する認知症カフェの開催日時が掲載されているので、近くで開催予定の認知症カフェを簡単に見つけることができます。
参考:全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)|厚生労働省
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以下では、認知症カフェに関するよくある質問を2つ挙げて回答していきます。
認知症カフェは誰でも参加することができます。「認知症カフェ」という名前から、認知症患者やその家族しか参加できないと思われがちですが、誰でも参加可能です。
ただし、認知症カフェによっては、参加者を認知症患者とその関係者に限定している場合もあります。参加の際は念のため参加条件を確認することをおすすめします。
運営主体によって認知症カフェの運営方法は様々ですが、市町村や社会福祉法人が運営する認知症カフェの参加費用は無料または100円程度が多いです。
民間企業が運営する認知症カフェはランチ代込みで500~1,000円の参加費がかかる場合がありますが、1,000円を超えることは少ないです。
認知症カフェは参加者の交流を主な目的としているため、誰でも参加できるよう参加費はできる限り抑えられています。
厚生労働省などが主導する「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)が2015年に策定されてから、日本全国で認知症カフェが日々開催されるようになってきています。
認知症カフェでは認知症患者本人や家族が自由に交流することができ、悩みや不安を解消することが可能です。
認知症カフェの参加者のなかには、家族信託を利用して認知症の人の財産を管理・運用している方々もいます。
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化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。
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