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ここ数年、SNSによる投資詐欺の被害が増加しています。被害者は、男性は50代以降、女性は40代以降の中高年が多く、被害増加の背景には、老後資金への不安などがあるといわれています。
この記事では、SNS投資詐欺の端緒から偽アプリをダウンロードさせて資金を振り込むまでの流れを詳しく解説します。
また、だまされないためのポイントや、万が一だまされてしまった場合の対策もお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。
最近ニュースとして取り上げられたものとして、認知症高齢者などを狙って物件購入契約をさせるという手口もでてきています。
対策の1つに「家族信託」もあります。高齢者の資産管理に詳しい司法書士の杉谷範子さんは、親子間で財産の管理について日頃から話しておくことが大切だとしたうえで、対策の1つとして、「家族信託」や「民事信託」と呼ばれる制度を挙げました。
SNS投資詐欺とは、SNSを利用した投資詐欺です。信用した相手に副業や仮想通貨、投資の話を持ちかけ、偽の投資用アプリなどをダウンロードさせて、金銭をだまし取る行為のことです。
SNS広告やダイレクトメール機能を利用し、非対面で接触を続けているうちに相手を信用させ、投資やもうけ話を持ちかけ、巧みに偽アプリをダウンロードさせ指定口座に金銭を振り込ませます。
女性よりも男性の被害者が多く、特に50歳代〜60歳代の被害が多くなっているのが特徴です。
被害額は500万円以下が最も多いのですが、中には1億円超えの被害も発生しています。
総務省の「SNSを悪用した投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」によると、SNS投資詐欺の発生件数は、令和5年1月が85件だったのに対し、同年12月には369件と約4.3倍に増加しています。
以下の記述でも、下記のサイトを参考にしています。
参考:総務省「SNSを悪用した投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」
上記サイトによると、被害者の性別の割合は、投資型詐欺では男性が約57%、女性が約43%と男性のほうが多いことが分かります。
年齢については40代以降が多く、男性が約86%、女性が約80%となっています。その中でも特に、男女とも50代が被害に遭っているとの結果です。
SNS投資詐欺に使用されたツールについては、男女で違いが見られます。
男性はフェイスブック、LINE、インスタグラム、マッチングアプリの順で、女性はインスタグラム、LINE、マッチングアプリ、フェイスブックの順で使用回数が多くなっています。
しかし、被害時の連絡に使用されたSNSは、LINEが約89%と圧倒的です。他のSNSで勧誘した後、LINEに誘導するケースが多くなっています。
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SNSにはいろいろな種類がありますが、SNS投資詐欺への勧誘はほぼ共通しており、以下の4つに大別されます。
以下で詳しく解説します。
LINEやXなどで、著名人が投資を持ちかける広告を見たことがある方もいるのではないでしょうか。
これらの広告は、著名人の画像などを本人に無許可で使用しており、最近では生成AIで本人の声を合成するなど手が込んでいます。
この広告をクリックするとLINEグループに招待され、グループ内の投稿で信用させていきます。相手を信用させたところで、投資や投資アプリの話を持ちかけるのです。
そして、偽のアプリで利益が出ているように見せかけ、さらなる投資を持ちかけてきます。
多くのSNSにはDM機能という個別に連絡を取る手段が備わっています。
まず、知らない相手からいきなりフォローされます。
DM機能で話しかけてきますが、最初のうちは一般的な話題で警戒心を緩めるのが特徴です。
DMでやり取りを続けるうちに、ある程度信頼を得たと感じると、SNSよりもセキュリティーの低いアプリに誘導し、投資を勧めてきます。
そして投資額がある程度までいくといきなりフォローを外され、そこで詐欺だと気づくのです。
LINEを使用している中で、突然知らないグループに勝手に入れられていた方もいるのではないでしょうか。
これはLINEの電話番号による友だち追加機能を使ったもので、グループ作成者が設定で「友だちをグループに自動で追加」にしていると、招待された側は自動的にグループに追加されます。
グループ内で投資に関するトークのやり取りがなされ、しばらくすると個別にDMで投資を持ちかけられるという流れです。
生成AIの発達により、最近では人にそっくりな音声をつくれるようになりました。それを利用し、著名人をかたる詐欺も存在します。
生成AIでつくられた音声は、イントネーションなどを除くと模倣された本人に非常に似ており、素人には判断が難しいほどです。
声も出していることから本物だろうと信用し、偽アプリなどに入金してしまった例があります。
SNS投資詐欺や特殊詐欺が流行しているのには、以下の原因が考えられます。
手口はますます複雑化し、法が追い付いていないのが現状です。
上述したように、生成AIの技術が飛躍的に進歩したことにより、それほどPCに詳しくない方でも、手軽に著名人に似せた映像や音声をつくれるようになりました。
いくら技術が進歩したといっても、よく見れば不自然な部分も多く、気をつけていればだまされることはないかもしれません。
しかし、最新技術に疎い方や高齢者などは、簡単にだまされてしまう可能性があります。
生成AIの技術は1日単位で進歩し、本物と区別のつかないレベルの模倣が可能になるまでそれほど時間はかからないでしょう。それに対し、警察や法律などによる対策はまったく追いついていません。
インターネットが発達した現在では、PCやスマートフォンさえあれば、世界中の人とつながることが可能です。これは、同時にその国にいなくとも海外から犯罪が行えるということを意味します。
SNSを利用した詐欺は、海外のグループが行っていると見られるものも多数存在します。SNSでのやり取りがややぎこちなかったりするものは、外国人が翻訳機能を使ってやり取りをしているからだと考えられます。
また、これらの犯罪グループは個々の役割が細分化されており、ターゲットを探す者、SNSでやり取りをする者、振り込まれたお金を引き出す者、引き出したお金をロンダリングする者といったように、細かく分かれているのも特徴の1つです。
②で説明したように、犯罪組織が国際化すると大本の犯罪組織までたどり着くのに時間がかかります。最悪の場合、たどり着けないケースもあるでしょう。
また、仮想通貨などを使った犯罪は、仮想通貨自体の仕組みの複雑さから、やはり大本の犯罪組織にたどり着くのが難しい傾向にあります。
だまされた人から直接お金を受け取る「受け子」や、振り込まれたお金を引き出す「出し子」であれば防犯カメラの映像から比較的捕まりやすいものの、彼らは大本の犯罪組織とは面識のないことがほとんどです。彼らから大本の犯罪組織にたどり着くことは非常に困難といえるでしょう。
SNS投資詐欺の被害が増加しているにもかかわらず、詐欺広告がインターネット上から消えない理由は2つあります。
1つ目の理由は「ネット広告は誰でも掲載しやすい」こと、2つ目の理由は「広告の削除対策が追いつかない」ことです。
詳しく見ていきましょう。
テレビ、ラジオ、新聞といった従来のメディアに広告を掲載する場合、どのような企業が広告を掲載するのか、またどのような内容の広告を掲載するのかについて厳しい審査を通過しなければなりません。つまり、信頼のある企業や適切な内容の広告でなければこれらのメディアに広告の掲載はできないということです。
しかし、インターネット広告の場合、アカウント、携帯番号、クレジットカードがあれば、個人でも広告を掲載することが可能です。もちろん、広告内容についての審査はありますが、従来のメディアに比べて基準は緩いといえます。
また、従来のメディアは広告掲載料が高額なのに対し、インターネット広告は最低数百円からと低予算で始めることができます。
上述したように、インターネット広告は個人が低予算で手軽に掲載できるため、テレビなどに比べて、膨大な数の広告が日々新たに掲載されています。
SNSのプラットフォーム側で、毎日膨大な数が掲載される広告を全てチェックすることはほぼ不可能です。
また、犯罪組織の詐欺の手法も複雑化しており、どのSNSに掲載された広告でも最終的にはLINEグループに招待するものがほとんどですが、LINEグループに招待すること自体は違法性がないので、広告としては適切なものと判断されてしまうようです。
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ますます高度化しつつあるSNS投資詐欺ですが、だまされないためのポイントがいくつかあります。
まず、「絶対にもうかる」「元本保証」など、投資家が損をすることが100%ないような文言が広告の中に記載されている場合、ほとんどが詐欺と考えて間違いありません。
なぜなら、投資である以上、100%うまくいくことなどあり得ないからです。
そもそも、一般の方に投資を持ちかけることは、金融庁に登録した事業者にしか認められていません。怪しいと思ったら、投資をする前に金融庁のサイトで登録してある事業者かどうか確認しましょう。
また、「元本保証」は、出資法によって銀行などの一部の金融機関の預金についてしか認められていません。よって、「元本保証」をうたった投資は違法に当たります。
SNS投資詐欺に遭った場合の相談先としては、以下の4つが挙げられます。
以下で詳しく解説します。
詐欺被害に遭った場合、相談先としてまず浮かぶのは警察ではないでしょうか。しかし、警察署に出向いて相談をするのは躊躇(ちゅうちょ)してしまうという方は、警察相談専用電話を利用して相談しましょう。
「♯9110」番は、全国どこからでも利用でき、電話をかけた地域を管轄する警察署などの窓口につながる電話番号です。受付時間は、平日の午前8:30~午後5:15までとなっています。
相談すると警察はその豊富な知識と経験により、相談者を指導し助言を与えてくれます。また、相手への警告や検挙など相談者の不安を払拭する措置を講じます。
詐欺被害を相談する公的機関として、国民生活センターがあります。
国民生活センターとは、国民生活全般に関する情報の提供や調査を行うことを目的とした消費者のための独立行政法人です。
国民生活センターには、電話相談窓口として「消費者ホットライン」が設置されています。電話番号は全国共通「188」番です。電話をかけると近くの消費者生活相談窓口を案内してもらえます。
相談内容は、契約に関するトラブル、訪問販売などに関するトラブル、虚偽広告などの不適切表示に関するトラブルなど多岐にわたりますが、生命・身体に重大な危害を受けた場合は警察にご相談ください。
相談自体は無料ですが、通話料金がかかることは覚えておきましょう。
参考:消費者庁「消費者ホットラインの概要」
法テラスは、法律にもとづいて各都道府県に設置されている法務省管轄の機関です。
投資詐欺について弁護士に相談をしたいけど経済的な問題で難しいという方は、法テラスの無料相談を利用すれば、弁護士に相談することができます。
法テラスに無料相談するには一定の条件を満たす必要があります。
1つ目は収入が一定額以下であること、2つ目は和解・調停・示談などにより紛争解決の見込みがあること、3つ目は民事法律扶助の趣旨に反さないことです。
法テラスのメリットは、同一の案件につき3回まで無料相談ができることです。しかし、1回の相談時間は30分であるため、質問事項を事前にまとめておかないと、相談が途中で終わる可能性があります。
投資詐欺に遭いお金を取り戻したい場合、弁護士に相談するのがおすすめです。
詐欺事件に強い弁護士ならその豊富な知識と経験から、被害金回収の方法やどの程度回収できるのか的確なアドバイスがもらえる可能性があります。
また、正式に被害金の回収を依頼するメリットとして、詐欺事件であることを立証し損害賠償を請求できる可能性があること、詐欺グループと返金交渉をしてもらえる可能性があることが挙げられます。
デメリットとしては、依頼すれば当然報酬が発生することです。着手金、報酬金、日当などを支払う必要があるでしょう。
SNS型投資詐欺について詳しく解説してきました。
オレオレ詐欺だけでなく、キャッシュカード詐欺や架空請求詐欺、SNS詐欺など、高齢者を狙う詐欺の手口も巧妙になっています。
親が高齢になってきて、特殊詐欺に遭わないか心配、実際に特殊詐欺に遭ってしまったので、なんとか対策したいといったご相談もよくいただきます。
親が投資詐欺の被害に実は遭っていたなど、老後の資産管理に不安がある方は、家族信託の利用をご検討されてはいかがでしょうか?
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