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被後見人が死亡した場合、成年後見制度はどうなるのでしょうか。
成年後見制度終了後の流れが気になる人は多いでしょう。
終了手続きの流れは、成年後見制度の終了事由や相続関係によって異なります。
期限のある提出書類もあるため、迅速に動かなければいけません。
成年後見制度の終了後、どのような対応をするべきか、わかりやすく記事をまとめましたので参考にしてみてください。
成年後見制度が終了する事由を確認しましょう。
成年後見制度は、本人が死亡するまで継続するのが通常です。
しかし、一定の事由に該当すると、本人が死亡しなくても成年後見制度は終了します。
成年後見制度の終了事由は、絶対的終了事由と相対的終了事由に分類されます。
絶対的終了事由と相対的終了事由では、終了後の流れが異なるため、区別して理解しておくことが大切です。
絶対的終了事由について解説します。
絶対的終了事由の具体例は以下の通りです。
絶対的終了事由は、成年後見制度の利用自体が終了する事由です。
絶対的終了事由に該当すると、成年後見制度の利用は完全に終了します。
本人の死亡は成年後見制度の終了事由です。
成年後見制度は、本人保護の制度です。
本人が死亡した以上、成年後見制度を継続させる必要はありません。
後見開始の審判が取り消されると、成年後見制度は終了します。
後見開始の審判は、本人の能力が回復すると、取り消し可能な状態になります。
能力の回復を理由に成年後見制度を終了させるには、本人または利害関係人からの後見開始の審判を取り消す申し立てが必要です。
本人の能力が回復しても、取り消しの審判があるまでは、成年後見制度は続きます。
本人の能力が回復しても、自動的に成年後見制度が終了するわけではありません。
相対的終了事由について解説します。
相対的終了事由の具体例は以下の通りです。
相対的終了事由は、成年後見制度そのものの終了を意味しません。
相対的とは、役目を降りる成年後見人等にとって成年後見制度は終了するけれども、成年後見制度そのものは継続するという意味です。
成年後見制度自体の終了を意味する、絶対的終了事由と区別しましょう。
相対的終了事由の場合、後任の成年後見人等が選任されます。成年後見制度そのものは継続します。
成年後見人等が死亡すると、成年後見制度は終了します。
しかし、成年後見人等の死亡による成年後見制度の終了は、相対的なものです。
相対的終了事由では、成年後見制度を継続させるため、後任の成年後見人等を選ぶ必要があります。
つまり、後見人等業務の引き継ぎ作業が必要です。
しかし、成年後見人等死亡のケースでは、前任者の引き継ぎ作業は期待できません。前任の成年後見人等が存在しないからです。
成年後見人等の死亡の場合は、本人または利害関係人が、新たな成年後見人等の選任を家庭裁判所に申し立てる形で、後見業務が引き継がれます。
成年後見人等が辞任すると、成年後見制度は終了します。
この場合も成年後見制度は相対的に終了するに過ぎず、前任の成年後見人等は引き継ぎ作業をする必要があります。
辞任するにあたり、前任の成年後見人等は、後任となる成年後見人等の選任を家庭裁判所に申し立てます。
なお、成年後見人等の辞任には裁判所の許可が必要です。
裁判所の許可を得るには、正当な事由が必要です。理由もなく成年後見人等を辞められるわけではありません。
成年後見人等の解任は成年後見制度の終了事由です。
成年後見人等に不正な行為や不適切な行為があった場合、成年後見人等を解任できます。
解任を請求できるのは、本人または利害関係人などです。
解任には家庭裁判所への請求が必要で、解任と同時に、後任の成年後見人等の選任を請求します。
法律が定める欠格事由(民法847条)に該当した場合、成年後見制度は終了します。
欠格事由は以下の通りです。
欠格事由による終了は相対的終了事由です。
成年後見制度を継続させるため、後任の成年後見人等を選ぶ必要があります。
しかし、欠格事由に該当する成年後見人等が、後任の成年後見人等を指名するのは望ましくありません。
欠格事由に該当した者が、後見業務にたずさわるのは相応しくないからです。
欠格事由を理由とする終了の場合、家庭裁判所が後任の成年後見人等を選任します。
なお、欠格事由による終了は、当初から欠格事由に該当していた場合に限りません。後発的に欠格事由に該当した場合も含みます。
成年後見制度終了後に必要な手続きは以下の通りです。
終了後に必要な手続きは、終了事由によって内容が異なります。
終了手続きを適切に処理するには、どの終了事由に該当して成年後見制度が終了したのか、終了事由を把握しておくことが大切です。
成年後見制度が終了した時点で、成年後見制度が終了した旨の登記をする必要があります。
成年後見制度が終了したにもかかわらず、成年後見の登記がされたままだと、不実の内容の登記が残ることになります。不実の登記があると、第三者の取引を害しかねません。
成年後見制度が終了した時点で、成年後見人等または成年後見監督人は、成年後見終了の登記を申請します。
ただし、登記申請が必要な終了事由は、本人の死亡のみです。
成年後見人等の解任や辞任など、死亡以外の終了事由の場合、裁判所が終了の登記を依頼します。そのため、登記の申請をする必要はありません。
本人が死亡時した場合は、成年後見終了の登記申請を忘れないようにしましょう。
成年後見制度が終了した時点で、成年後見人等は管理計算をします。
管理計算とは収支計算のことです。
成年後見人等は、収支計算書および財産目録を作成し、後見期間中の財産の流れを明確にします。
収支計算と財産目録の内容は、本人の相続人や家庭裁判所に報告しなければいけません。
成年後見制度の終了後、成年後見人等は財産の引き渡し義務を負います。
成年後見人等の地位を失う以上、本人の財産を管理する権限は無いからです。
財産の引き渡し先は、終了事由によって異なります。
後任がいるのであれば、後任の成年後見人等に財産を引き渡します。
しかし本人の死亡が終了事由の場合、後任の成年後見人等は存在しません。絶対的終了事由に該当し、成年後見制度そのものが終了するからです。
本人死亡の場合、財産を誰に引き渡すべきかの判断はケースにより異なるため複雑です。
遺言がある場合は、遺言内容に沿って財産を引き継ぎます。
遺言がない場合、相続人が1人なら、相続人に財産を引き渡しても問題ないでしょう。
しかし、遺言が存在せず、かつ相続人が複数の場合、どの相続人に財産を渡すかの判断は難しいです。
全員の相続人の同意を得ないまま、特定の相続人に財産を渡してしまうと、トラブルの原因になりかねません。
遺言の無い相続で相続人が複数いる場合は工夫が必要です。相続人が全員そろった場所で財産を引き渡すなど、財産の引き渡し方には慎重を要します。
成年後見制度の終了後は、手続きが完了した旨が記載された引き継ぎ書面を、家庭裁判所に提出します。
引き継ぎ書面の提出には期限があり、成年後見等の終了後から2カ月以内です。
2カ月の期限があるため、管理計算と財産の引き渡しが完了次第、引き継ぎ書の提出を急ぐ必要があります。
成年後見制度の終了時において、成年後見人等は、本人の財産から報酬を受け取ることができます。
ただし、報酬を受け取るには、家庭裁判所への申し立てが必要です。
家庭裁判所に報酬付与の審判の申し立てをして、報酬を付与する旨の審判を受けます。
裁判所の審判を得ないまま報酬を受け取る行為は、認められていません。
報酬の額も、家庭裁判所が決定します。
成年後見人等が自由に報酬額を決めることはできません。
通常よりも困難な事務処理を行った場合は、基本報酬に加えて、付加報酬を求めることができます。
付加報酬を求める際は、報酬付与申立事情説明書に、付加報酬を求める旨を明記します。
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本人の死亡によって、成年後見制度は終了します。
死亡後の事務処理は、相続人が行います。成年後見人等は、死亡後の事務処理について義務を負いません。
ただし、以下の行為は、成年後見人等であっても、任意の行為として死後の事務処理ができます。なお、一定の条件は必要です。
本人の死亡後、成年後見人等は、相続人の個々の財産を保護する行為ができます。
本人が死亡し、成年後見制度が終了した以上、成年後見人等には相続財産を管理する義務はありませんが、任意で相続財産を保護することはできます。
ただし、相続人の意思に反しないことが条件です。
相続財産の保護が目的であっても、相続人の意思に反して、成年後見人等が相続財産を管理する行為は認められません。
相続人が自ら財産を管理できない状況にあり、相続人の意思に反しない限り、成年後見人等による特定の財産の保全は許されます。
本人の死亡後、本人の債務を弁済する義務は成年後見人等にありません。
成年後見人等の任意の弁済であっても、認められないのが原則です。
死亡後の本人の債務は、債務を相続した者によって弁済されるべきだからです。
ただし、弁済期が既に到来した債務に限り、成年後見人等による弁済が認められる場合があります。
相続人が弁済できる状態になく、なおかつ相続人の意思に反しない場合、弁済期到来済みの債務に限り、成年後見人等の弁済が認められる可能性があります。
本人死亡後の火葬や埋葬の手続きは、成年後見人等の業務外です。
成年後見人等が勝手に、火葬業者や埋葬業者と契約を結ぶ行為は認められません。
ただし、家庭裁判所の許可を得て、なおかつ相続人の意思に反しない場合は、成年後見人等による契約も認められる余地があります。
成年後見制度の終了に関して、よくある質問を集めました。
成年後見制度の終了事由が発生した場合でも、改めて成年後見制度の利用を申し立てる必要はありません。
成年後見制度の終了事由が発生しても、後任の成年後見人が選ばれる形で、成年後見制度は継続するためです。
ただし、後任の成年後見人等の請求をする者は、終了事由によって異なります。
終了事由が辞任の場合は、前任の成年後見人等が後任の成年後見人等の請求を家庭裁判所に申し立てます。
終了事由が解任の場合は、本人または利害関係人が後任の成年後見人等の請求を家庭裁判所に申し立てます。
しかし、成年後見制度を継続させるため、後任の成年後見人等に引き継ぐ作業は必要になります。
なお、本人死亡の場合は、成年後見制度は完全に終了します。
本人死亡の場合、管理計算、財産の引き渡しなど、後見終了の手続きをする流れになります。
成年後見制度は、本人が死亡するまで続くのが一般的です。
辞任や解任など、途中で終了事由が発生しない限り、本人の死亡まで成年後見制度は継続します。
成年後見制度の終了事由は様々です。
終了事由によって終了後の手続きの流れが異なるため、終了事由の把握が大切になります。
成年後見の終了登記、管理計算、引き継ぎ書の作成など、成年後見制度終了後も必要な手続きは複数あります。
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