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成年後見人等の報酬はどのように決まるのでしょうか。
また、決められた報酬を支払えないケースもあるでしょう。
支払う報酬は、適用する成年後見制度により変わります。
基準が知りたい方や、少しでも抑える方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ここでは、東京家庭裁判所が公表している基準を参考に、4つのパターンに分けて紹介します。
支払金額は、家庭裁判所が決定しているため家族や親族の意見がそのまま反映されるわけではありません。
家庭裁判所は、管轄の地域ごとに、基準となる金額や考え方を公表しています。
事前に報酬金額が知りたいときには活用しましょう。
「法定後見人・保佐人・補助人」のそれぞれの報酬は、本人の現金や預金など財産の額によって決まります。
基準は下記表の通りです。
財産の額 | 基準金額(月額) |
---|---|
1,000万円以下 | 2万円程度 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 3万円から4万円程度 |
5,000万円を超える場合 | 5万円から6万円程度 |
例えば、本人の財産額が5,000万円を超える場合の成年後見人等の報酬としては、月額5万円から6万円程度が妥当だということがみてとれます。
このように、報酬金額は自分で勝手に決められるものではありません。上記基準を参考にすることによって、成年後見制度の活用を検討するときに、ランニングコストがどれくらいかかるのか知ることができます。
任意後見人の報酬は、契約締結時に決定します。
実際に行う事務内容については、法定後見人の職務内容と同じ場合が多いため、家庭裁判所が公表している法定後見人の報酬金額を参考に決定することが多いでしょう。
報酬金額の明記がない契約書は、将来的にトラブルの原因になる恐れがあるため気をつけるようにしましょう。
成年後見監督人等の報酬は、裁判所から支払われるわけではありません。被後見人の財産から支払われることになります。成年後見監督人等は、家庭裁判所に対し定期的に監督事務の報告を行い、報酬付与の申し立てを行うことにより決定されます。もし支払いが滞ったり遅れたりした場合、裁判所に訴えることにより未払い分の支払いを求めることが可能です。
報酬額は一定ではなく、個別の事情に応じて変わることがあります。そのため、成年後見監督人等の報酬についても、事前によく調べておくことが大切です。
「成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人・任意後見監督人」の報酬の基準は下記表の通りです。
財産の額 | 基準金額(月額) |
---|---|
5,000万円以下の場合 | 1万円から2万円程度 |
5,000万円を超える場合 | 2万5,000円から3万円程度 |
複数人いる成年後見人等とは、親族の成年後見人等を複数選任しているケースや専門職後見人を複数選任している場合です。
それぞれの報酬は、単独で発生する場合と同じように、財産の額を基準に、実際に行った職務内容の割合に応じてあん分します。
たとえば、財産額が1,000万円以下で単独で発生する報酬が月額2万円の場合を想定しましょう。
2名の成年後見人等が事務処理を同じ業務負担で実施した場合、1人当たり1万円が発生します。
複数人の後見人が選任されることで、人数分だけ増加するのではなく、決まっている金額を人数であん分します。
毎月支払う報酬の決め方は、成年後見制度の種類や被後見人の財産額によって変わります。
一般的には、下記表の通りです。
後見制度の種類 | 金額を決定する者 | 金額の決め方 |
---|---|---|
成年後見制度 | 家庭裁判所により決定 | 管理財産の額 |
任意後見制度 | 任意後見契約で決定 | 自由に設定できる |
任意後見制度は、当事者間の契約で報酬金額を設定できます。
自由に報酬金額を決定できますが、相場と比較し高すぎる場合は、自己負担が重くなります。
ここでは、通常の報酬に加えて支払われることがある、付加報酬について紹介します。
成年後見人等の仕事は決められた内容だけではありません。
特別な業務や想定外の事務が発生する場合もあります。
特別な業務や想定外の事務を行った場合に発生する報酬について、詳しく見ていきましょう。
付加報酬が発生するケースは、大きく分けて次の2つです。
①の場合とは、次のケースがあげられます。
②の場合とは、次のようなケースがあげられます。
いずれのケースも、全ての方に必ず発生するものではなく、発生しない方もいるため付加報酬という形で、別途計算し支払います。
付加報酬には基準が設けられており、東京家庭裁判所の場合は、下記の通りです。
発生する内容 | 金額の目安 |
---|---|
身上保護に特別困難な事情がある | 基本報酬金額の50%の範囲内 |
特別な行為により本人の財産が増加 | 経済的利益額による |
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ここでは、法定後見制度と任意後見制度の費用負担者について解説します。
成年後見人等は、本人の財産や権利を保護するために多くの業務を行い、対価として報酬が発生します。
その費用の支払者は、被後見人である本人です。
法定後見人の報酬は、基本的に本人の財産から支払われます。
ただし、本人の財産が不足している場合や、特別な事情がある場合は、家庭裁判所が金額を減額したり、親族に支払ってもらったり、国から助成金を受けたりできます。
費用負担者や金額の決定方法、支払方法については下記の通りです。
1. | 家庭裁判所は、法定後見人から報酬付与の申し立てを受けた後、法定後見人の業務内容や時間、被後見人等の財産状況などを考慮し、金額を決定する。 |
2. | 負担者である被後見人は、家庭裁判所で決定した金額を支払う。 |
3. | 本人が支払いできない場合、※一定の要件を満たすことで助成金が受けられる。(※生活保護受給者・市町村民税非課税世帯 など) |
4. | 助成金の申請が認められると、月額3万円程度の支援が受けられる。(助成金は国から裁判所に支払われ、裁判所から法定後見人に支払われる) |
任意後見人の報酬は契約締結時に決定し、費用は本人が負担します。
任意後見人は家族や親族から選任できるため、無報酬にすることも可能です。
ただし、煩雑になる事務負担や親族間とのトラブルを避けるためにも、いくらか受け取る方が良い場合もあります。
無報酬の場合であっても、契約で報酬金額が無報酬であることを明確にしておきましょう。
本人が報酬を負担する場合、法定後見制度と同様に本人の財産から支払われることになります。
成年後見制度では報酬以外にどのような費用が発生するのでしょうか。
ここでは報酬以外に発生する3種類の費用と内容について詳しく見ていきます。
成年後見人等の選任申し立て費用とは、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てる際に発生する費用です。
申立手数料や登記手数料などの収入印紙代、郵便切手代、医師の診断書や鑑定費用が当てはまります。
これらの費用は、一時的に発生するものであり、継続的にはかかりません。
申し立て費用の目安は、約10万円程度です。
費用負担者は、原則として選任の申し立てをした本人です。
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに任意後見受任者との間で任意後見契約を締結し、自分で将来の任意後見人を指定しておく制度です。
契約書は公正証書で作成します。公証人は、任意後見契約の公正証書を作成したときは、法務局に任意後見契約の登記を嘱託しなければなりません。
この登記には、登記手数料や収入印紙代がかかります。
登記費用の目安は、約5万円程度です。
専門家の費用とは、成年後見制度の利用に関して専門家に依頼する場合に発生する費用のことを指します。
主に、弁護士や司法書士に支払う費用が当てはまります。
依頼できる内容は、申し立て書類の作成や手続きの代行業務です。
代行した業務の対価として報酬を支払います。
専門家への費用の目安は、15万円から25万円程度です。
成年後見制度の利用の際、成年後見人等に支払う報酬や申し立て費用に負担を感じるのではないでしょうか。
ここでは、制度活用時の費用や申し立て費用に活用できる助成金を2つ紹介します。
生活保護の受給をされている場合や所得が少ない場合は、助成金の活用で費用を軽減できます。
成年後見制度利用支援事業とは、国の補助を受けて市区町村が実施する事業です。
頼れる親族がいない場合や費用負担が困難なときに利用できます。
市区町村長が申し立てを代行したり、費用の一部を助成したりすることで、判断能力が不十分な方への支援を行います。
高齢者と障がい者とに分けられ、多くの市区町村で実施されています。
助成金額の上限は、月額2万円程度です。
成年後見助成基金とは「成年後見センター・リーガルサポート」が実施している基金です。
生活保護の受給者や所得の少ない方に、成年後見人等の費用の一部を助成します。
基金利用の申込み期間は毎年4月で、預貯金額260万円以下などの条件があります。
助成金額の上限は、月額2万円程度です。
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ここでは、成年後見人等の報酬に関するよくある3つの質問に答えます。
家族や親族が成年後見人等になった場合も、第三者が成年後見人等になる場合と同様に、原則として報酬は発生します。
一方で、家族が受け取らない意思を申し立てることも可能です。その場合、報酬は発生しません。
一般的には、専門家の成年後見人等よりも低く設定します。
本人の財産が不足していたり、家族が支払いを拒否したり等の理由により、報酬が未払い状態になることがあります。
報酬が未払いの場合、成年後見人等は報酬請求権に基づいて裁判所に支払いを求める訴訟を起こすことが可能です。
制度活用時の費用を抑える方法として、次の2つがあります。
判断能力が十分なうちに自分で将来の任意後見人を指定しておく契約が任意後見契約です。
この方法は、法定後見制度と比較すると手続きや費用が簡素化されるため、費用を抑えることができます。
所得が少なかったり生活保護を受給していたり、本人の他の家族や親族が報酬や費用を支払えない場合は助成金が活用できます。
市区町村や公益社団法人から成年後見人等の報酬や申し立て費用の一部を助成してもらえます。
助成金の活用により、自己負担額を減らすことが可能です。
成年後見人等は、判断能力が不十分な人の財産管理や身上保護を行い、費用が発生します。
金額や支払い方法については、よくわからないことが多いかもしれません。
費用を抑えるには手続きや費用を簡素化したり、助成金を活用して自己負担額を減らす方法があります。
成年後見制度の活用の他、家族信託の検討も費用を抑える方法の1つです。
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東証一部上場の企業で10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画等の様々な業務に従事。司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。お客様からの相談対応や家族信託の組成支援の他、信託監督人として契約後の信託財産管理のサポートを担当。
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