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成年後見制度では、成年後見人を付けるための手続きが必要です。
本記事では、成年後見人を選任する手続きの方法について様々な視点から詳しく解説します。
記事を読むと、成年後見人の職務内容となれる人についてわかるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
田中 総
(たなか そう)
司法書士
2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。
経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。
田中 総
司法書士資格保有/家族信託コーディネーター/宅地建物取引士/不動産証券化協会認定マスター
東証一部上場のヒューリック株式会社 入社オフィスビルの開発、財務、法人営業、アセットマネジメント、新規事業推進、経営企画に従事。2021年、株式会社ファミトラ入社。面談実績50件以上。首都圏だけでなく全国のお客様の面談を対応。
成年後見人とは、認知症や精神的な障がいにより、判断能力が著しく低下した人を支援する役割を担う人のことをいいます。
判断能力が低下してしまうと、通帳や印鑑などを失くしてしまったり、騙されて高額な商品を買わされたりすることが起こりやすくなります。
このような事態にならないように、本人の代わりに財産の管理・保護、生活の支援をするのが成年後見人の役割です。
成年後見人には法定後見人と任意後見人の2種類があります。
法定後見人は裁判所が選任し、選任された法定後見人が被後見人の財産管理や生活支援を行います。
任意後見人は任意後見制度において、自分自身で選任することが可能です。
法定後見制度とは、本人の判断の判断能力が低下したときに、家庭裁判所に申し立てを行うことで法定後見人が選任され、本人を保護・支援する制度です。
法定後見制度は更に「後見」「保佐」「補助」の3つに分類され、それぞれに異なる役割を担っています。
「後見」とは、被後見人が判断能力を欠く状況の場合に選任されます。
「保佐」とは、被保佐人に代わって一定の行為を行います。判断能力が著しく不十分な場合に保佐人が選任されます。
「補助」とは被補助人と協力して財産管理や生活支援を行います。被補助人は判断能力が不十分な場合に補助人が選任されます。
本人の判断能力の程度によって、3つの中から法定後見制度を適用します。
任意後見制度とは、本人の判断能力が失われる前に自分で任意後見人を選択して任意後見契約を締結します。その後、判断能力が失われた場合に支援が受けられます。
任意後見人は、法定後見人と異なり裁判所の選任が必要ありません。手続きが簡便なため、自己の意思を尊重した財産管理や生活支援が受けられます。
一方、法定後見人と異なり裁判所が任意後見人を選任するわけではないため、任意後見制度を利用する際には、信頼できる任意後見人を自ら選定する必要があります。
成年後見人が必要な理由は、本人の判断能力に低下がみられ、財産を適切に保護する必要がある場合です。
契約のような法律行為が必要な場合には、判断能力が失われた本人に代わって成年後見人が法律行為を行う必要があります。
成年後見の開始原因は、圧倒的に認知症が多くなっています。裁判所が公開しているデータによると、成年後見の開始原因の約63.2%は認知症によるものです。
2位が知的障害、3位が統合失調症と続きますが、2位以降はいずれも10%を切っているため、認知症による成年後見の開始がどれほど多いのかがわかるでしょう。
認知症と後見人の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
成年後見人が必要な6つのケースについて解説します。
裁判所が公開しているデータによると、成年後見制度を申し立てる動機は預貯金等の管理・解約が1番多いです。次いで身上保護、介護保険契約の順に多くなっています。
以下で、成年後見人が必要なケースについて、6つの具体例を用いて解説します。
参考:最高裁判所事務総局家庭局|成年後見関係事件の概況―令和4年1月~12月―
預金の管理や解約をしたい場合、判断能力が失われた本人では法律行為が無効となってしまうため成年後見人が必要です。
預金の解約は、本人でなければできないため、代理人として手続きを進める人が必要になります。
例えば、本人の生活費や医療費など、本人のために使用するお金が必要なときには、成年後見人が本人に代わって引き出すことができます。
このように、成年後見人を選任すれば、被後見人に代わって財産の管理が可能です。
不動産の処分には、契約書の作成や金銭のやり取りが発生します。
取引額も高額になるケースが多く判断能力に不安がある場合には、自分で進められない可能性が高い法律行為です。
金銭のやり取りだけでなく、手続きが煩雑化した場合は成年後見人が必要です。契約書に不利な内容が記載されていても、判断能力が失われた本人は気付くことができません。
また、本人の意思能力が不十分な場合、契約行為そのものが無効になる可能性があります。
相続が発生し相続人が複数いる場合、遺産を各相続人に分割する手続きとして遺産分割協議が発生します。
遺産分割協議は相続人全員で進めなくてはなりません。判断能力がない方が含まれている遺産分割協議は、本人が協議に参加することは難しいです。
判断能力に欠ける場合、遺産分割が不利な内容で進んでいても気付くのは困難です。
相続人全員のためにスムーズに遺産分割協議を進めるためにも、成年後見人が必要です。
判断能力が失われると正しい判断ができないため、いつ詐欺被害に遭遇するかわかりません。
不当な契約をしてしまい気付くまでに時間がかかってしまうと、取り返しがつかない事態を招きかねません。
成年後見人がいれば、契約を本人に代わって行うため、詐欺被害を未然に防止できます。
また、被後見人や成年後見人は、取消権の行使が可能です。
本人が不当な契約をした場合、本人の財産を保護するため取消権が認められています。
判断能力が著しく低下していると、本人が気づかないところで親族が財産を使い込む可能性があります。
財産の使い込みを防ぎたい場合、成年後見人を選任することで財産管理を一任できます。
また、成年後見人は、預貯金の管理だけではなく被後見人の財産全体について管理する役割を有しています。
本人が財産を使いすぎそうな状況でも、成年後見人により止めることができます。
本人の生活を維持するために施設へ入居させる「身上保護」において、成年後見人が代理で施設入所契約をすることが可能です。
成年後見人を選任し、成年後見人が被後見人に代わって契約することで入所可能です。
施設側は、利用料の支払いが滞らないのであれば不都合はないため、成年後見人がいる方が安心して契約ができます。
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相続で成年後見人を立てるケースとして、遺産分割協議を行うケースが考えられます。
遺言書がある場合や、法定相続分で遺産を分ける場合は、遺産分割協議が行われないので、成年後見人を立てる必要はありません。
遺言書がない場合や法定相続分とは異なる割合で遺産を分ける場合には、遺産分割協議を行わなければなりません。なぜなら、遺産分割協議は法律行為であり、法律行為を行うには意思能力が必要だからです。
認知症などで、意思能力のない相続人が遺産分割協議に参加した場合、その遺産分割協議は無効となります。したがって、判断能力が低下した相続人がいる場合は、成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加することが必要です。
遺言書がある場合、相続人の中に認知症などで判断能力が低下した者がいた場合であっても、成年後見人は必要ありません。この場合、遺産は遺言書に従って分けられるからです。
遺言書があっても相続人全員の同意があれば、遺産分割協議により相続分を決定します。この場合は、成年後見人が必要です。
成年後見人になるために特別な資格はいりません。弁護士、司法書士、社会福祉士など法律や福祉の専門家、親族の他に地域の市民、また複数人や法人でも成年後見人になることができます。
しかし、成年後見人は被後見人の財産を管理するので、信用できない人に任せられません。
したがって、以下の欠格事由に当たる人は成年後見人になれません。
成年後見人の職務は大きく分けて、以下の5つです。
成年後見人は、成年後見開始の審判の日から、原則として2カ月以内に裁判所への初回報告が必要です。
報告する際には、年間収支予定表と財産目録の2つの書面を作成し、普通預金の通帳のコピーや定期預金の取引残高証明書なども添付します。
年間収支予定表を作成する際には、被後見人の収入と支出を把握することが必要です。
たとえば、年金や不動産、株式の配当による収入、クレジットカードの利用明細による支出などから収入と支出を調べます。
また、財産目録を作成する際には、不動産や預金、株式・有価証券などについて調査します。
財産管理とは、本人の財産を適切に維持・管理することです。
そのため、成年後見人には代理権が与えられています。
成年後見人が本人に代わり様々な契約を締結したり、収入と支出を把握し預貯金を管理したりするのです。
財産管理の具体的な職務には次のものがあります。
身上保護とは、成年後見人が本人に代わって介護の契約や施設への入所契約、または病院との契約など本人の生活や療養監護に関することを行なうことです。
成年後見人が本人に代わってできるのは法律行為だけで、事実行為は含みません。
身上保護の具体的な職務には次のものがあります。
成年後見人は、取消権の行使ができます。取消権を行使できるのは、買い物などの日常生活を除く法律行為です。
取消権を行使する場面としては、例えば、判断力がない被後見人が不要な壺などを購入してしまった場合などが挙げられます。
その場合、被後見人が購入の際に結んだ売買契約を成年後見人が取り消すことができ、はじめからなかったことにできるのです。
なお、任意後見人には取消権が認められていないため、注意が必要です。
成年後見人は、財産管理と身上保護を適切におこなっている旨を説明するため、原則として1年に1回、家庭裁判所に報告書を提出する義務があります。
提出する書類は、「後見等事務報告書」「財産目録」「収支報告書」「預金通帳のコピー」などです。
また、成年後見人はその職務に対して、被後見人の財産から報酬を受けとることができます。
報酬を受け取る場合は、職務内容の報告と合わせて、家庭裁判所に報酬付与の申し立てをします。報酬額は、裁判所が決定します。
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一方、成年後見人にはできないこともあります。どのような行為ができないのかを見ていきましょう。
成年後見人ができないことについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
成年後見人ができることは、被後見人を代理する「法律行為」であり、事実行為はできません。
法律行為とは法律上の効果が生まれる行為であり、事実行為とは法律上の効果が生まれない行為のことです。
例えば、病院に送迎したり被後見人の買い物についていくことは事実行為であり、成年後見人の職務ではありません。このような事実行為は、介護サービスの事業者などに任せることになります。
身分行為も成年後見人にはできません。身分行為とは、婚姻・離婚をはじめ被後見人の身分に変更を生じさせる行為のことです。
身分行為は本人の意思が尊重されるため、成年後見人が被後見人に代わって婚姻届や離婚届に判を押すことはできません。
成年後見人には、日常生活を除く法律行為に対して取消権が認められています。そのため、日常生活に関する行為の同意や取り消しが認められていないのです。
理由は、本人の意思を尊重する他、日常生活に関わる行為であれば購入金額が高くなってしまうことが少なく、財産に与える影響が小さいことなどが挙げられます。
医療行為の同意も成年後見人にはできません。成年後見人には法律行為が認められているため、被後見人のために医療行為に関する契約を締結することは可能です。
しかし、手術をするか否かなど、どのような医療行為を選択するのかは被後見人のみが決められるため、成年後見人が代わりに決めることはできません。
成年後見人は、被後見人の身元保証人や身元引受人になることもできません。
場合によっては、医療機関などから被後見人の身元保証人や身元引受人になって欲しいと頼まれることがあります。
しかし、被後見人の法律行為に関して代理できる人が被後見人の身元保証人になる場合、自分のことを自分で保証する状況が生まれてしまいます。
この状況では、成年後見人と身元保証人の利益が相反してしまい、職責を全うすることができません。そのため、成年後見人は身元保証人や身元引受人になることはできないのです。
成年後見人を立てる利点は、以下の5つです。
以下で詳しく解説します。
認知症になり判断能力が低下すると、詐欺や不要な契約を締結させられる被害に遭う可能性が高まります。コロナ禍以前は訪問販売による被害が多くありましたが、現在は電話を使った「送り付け商法」による被害が増加しています。
一度被害に遭うと、何度も同じ業者に騙されたり、被害者の名簿が出回り他の悪質な業者から騙されたりする危険があります。
成年後見人を選任すると、本人に代わって後見人が契約などの法律行為を行うので、詐欺や不要な契約を防止することができます。また、本人が不要な契約をしてしまったとしても、後見人は取消権を行使して契約を取り消すことが可能です。
認知症などで判断能力が低下すると、銀行などでお金を出し入れするときに、暗証番号を忘れるといったトラブルが起こる可能性が高まります。場合によっては、口座凍結の可能性もあるでしょう。
認知症になって困ることの1つは、口座凍結により預金の引出しができなくなることです。しかし、成年後見人が選任されれば、銀行口座へのお金の出し入れ、定期口座の解約、各種変更を行うことができます。
また、入出金を管理することにより、口座から不明な用途の支出がある場合など、早期に気づくこともできるでしょう。
本人が介護施設に入る必要があっても、認知症などで判断能力が低下している場合、有効な契約ができない可能性があります。
成年後見人を選任すれば、本人に代わって後見人が介護施設との契約を締結することができます。
また、判断能力が低下している場合、必要な介護サービスを本人が決めることができません。この場合も、成年後見人を立てれば、本人に代わって必要な介護サービスの締結や費用の支払いが可能です。
通常、介護保険や要介護認定申請を代行できるのは、家族・指定居宅介護支援事業所・地域包括支援センターのみですが、成年後見人がいる場合は、成年後見人が代行できます。
本人の生活費や介護費、医療費の捻出のため、本人が所有している不動産を売却しようとしても、本人の判断能力が低下していては、売買契約を締結できない可能性があります。
成年後見人を選任すれば、本人に代わって成年後見人が不動産売買契約を締結することができ、不動産を処分できます。ただし、居住用不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要なことに注意が必要です。
居住用不動産とは、本人が居住するための建物や敷地のことです。病院や施設に入っている場合、過去に居住していた、あるいは将来退院して住む可能性があるものを含みます。
保険金を請求するのにも、意思能力が必要です。
認知症などで判断能力が低下している方が保険金の受取人に指定されている場合、そのままでは手続きが止まってしまいます。このようなケースでも、成年後見人を選任していれば手続きを進めることができ、成年後見人が保険金の請求・受け取りをすることが可能です。
また、指定代理請求制度を利用すれば、本人の判断能力が低下しても、保険金の請求・受け取りができます。
指定代理請求制度とは、被保険者に保険金を請求できない事情があった場合に指定代理人が保険金などを請求できる制度です。本人の判断能力が低下しないうちに、代理人を指定しておくと安心できるでしょう。
成年後見人を立てる際は、以下の4点に注意しましょう。
以下で詳しく説明します。
成年後見人を選任したら、成年後見人に報酬を支払う必要があります。
親族が成年後見人になる場合、報酬が発生しないことが多い傾向にありますが、専門家が成年後見人に選任された場合は報酬が発生します。
報酬の目安は、通常の事務を行った場合、月2万円です。
ただし、管理する財産の金額が大きい場合は、事務作業が煩雑になります。管理する財産の金額が1,000万円超え5,000万円以下の場合、月額3万円~4万円、管理する財産の金額が5,000万円を超える場合は、月額5万円~6万円が目安となります。
身上保護などに特別困難な事情があった場合、基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を増額することも可能です。
参考:大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」
後見人の選任には大変な手間と時間がかかります。
その理由は以下の通りです。
主な提出書類は、以下の通りです。
面談調査では、本人と後見人候補者に対し、以下が聞かれます。
成年後見制度で最も多いトラブルは、後見人が管理すべき財産を使い込んでしまうことです。
このようなトラブルが多発していることから、親族が後見人になった場合、他の親族から「本人の財産を着服・横領しているのではないか?」との疑念を持たれることがあります。
後見人が適切な財産管理をしているのにもかかわらず、他の親族からこのような疑念を持たれると、後見人と親族の間でトラブルが発生する可能性があるでしょう。
成年後見制度の目的は、被後見人の財産の保護・維持と生活の安定です。そのため、財産が減少する可能性のある行為、例えば財産を投資に使うなどの行為はできません。
また、居住用の不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要になり、簡単に売却することはできません。
例えば、介護施設に入っており、かつて住んでいた家に戻る可能性がほとんどない場合でも、処分するためには家庭裁判所の許可が必要となる可能性があります。
また、介護施設に入るための費用捻出のため、現在居住している家を売却する場合でも、家庭裁判所の許可が必要になるので、財産の処分がしづらい面があります。
任意後見の場合、任意後見契約書に、売却に関する条項を入れておけば、不動産の処分が容易になります。
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成年後見人の選任方法は、法定後見人と任意後見人で異なります。
2つで大きく異なるポイントは、裁判所の選任の有無です。
法定後見人の選任は家庭裁判所が行います。
家庭裁判所に申し立てをする際に、法定後見人の候補者を提示できます。ただし、提示した候補者の中から、優先的に裁判所が選任するとは限らない点に注意が必要です。
申立人が本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見等開始の申し立てをすると、法定後見人が選任されます。
親族が選任されることもありますが、次のような事情がある場合は親族以外の専門家が選任されることが多いです。
家庭裁判所は様々な事情を考慮して、本人にとって最も良いと思われる人を法定後見人に選任します。
任意後見人は、本人が自分の意思に基づいて任意後見人を選任できる制度です。
法定後見人とは異なり、家庭裁判所が選任するわけではないため、被後見人が希望する任意後見人を必ず選任できるという点に特徴があります。
信頼できる親族を選任したいという場合には、任意後見制度の利用を検討すべきでしょう。
もっとも、法定後見人と異なり、任意後見の効力発生要件として、家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必須です。
成年後見人の任務を開始するための手続きなどは、下記の記事で詳しく紹介しています。手続き方法について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
成年後見人の申し立て手続きでは、書類の取得や申し立ての際に様々な費用が発生します。
主に必要となる費用は以下のとおりです。
項目 | 費用 | 支払先・備考 |
---|---|---|
申立書類一式 | 無料 | 家庭裁判所 |
申立手数料(収入印紙代) | 800円 | 裁判所または郵便局 |
戸籍謄本 | 450円 | 市区町村役場(本籍地) |
住民票 | 300円 | 市区町村役場(住民票) |
登記されていないことの証明書 | 300円 | 法務局 |
医師の診断書 | 5,000円〜1万円程度 | 主治医の病院 |
郵便切手代 | 3,000円〜5,000円程度 | 裁判所または郵便局など |
後見登記手数料(収入印紙) | 2,600円 | 裁判所または郵便局など |
医師の鑑定料(必要な場合のみ) | 5万〜10万円程度 | 裁判所 |
上記のうち必ず必要となる費用を合計すると、申立費用の総額は12,000円〜20,000円程度であることがわかります。
なお、任意後見人を立てる場合は、任意後見監督人選任の申し立て費用とは別に任意後見契約の登記費用が必要です。具体的な費用の内訳は以下のとおりです。
項目 | 費用 |
---|---|
公正証書の作成手数料 | 11,000円 |
公正証書代 | 約10,000円 |
任意後見契約の登記嘱託手数料 | 1,400円 |
登記手数料 | 2,600円 |
成年後見制度を利用する場合、かかる費用は「実際に利用するまで」と「利用が始まった後」の2種類があります。
成年後見制度を利用するまでは12,000円〜20,000円かかるといわれています。
ただし、医師の診断書が必要な場合には、上記金額に加え、5万円〜10万円程度かかり、診断書の内容は医師によっては20万円かかる可能性もあります。
なお、任意後見人を立てる場合は、任意後見監督人選任の申し立て費用とは別に任意後見契約の登記費用が必要です。2〜3万円ほどかかるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
成年後見制度の利用が始まった後は、成年後見人等への報酬が必要です。
明確に報酬額が決まっているわけではなく、2万円〜6万円程度とされています。
成年後見人等の報酬額は、家庭裁判所の裁判官が決めますが、平成25年1月1日付で、東京家庭裁判所・東京家庭裁判所立川支部が「成年後見人等の報酬額のめやす」を出しています。
もし、成年後見制度を利用する期間が10年ある場合、240万円〜720万円程を支払うことになります。
大きな費用になるので、成年後見制度がスタートしてから、実際に将来、払い続ける金額をしっかりと事前に調査しておく必要があるでしょう。
成年後見制度について専門家を使って申し立てを行う場合、上記に記載の費用の他に専門家に対して支払う「コンサルティング費用」がかかるのが通常です。
この費用は専門家や、期間、作業量によって変わってくるので、専門家に確認する事をおすすめします。
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成年後見は、次の理由で終了します。
以下で詳しく解説します。
被後見人が死亡すると後見の必要がなくなるので、成年後見は当然に終了します。
注意したいのが、この死亡には失踪宣告による死亡が含まれることです。
被後見人死亡による終了の場合、一般的に財産は相続人が継承することになります。
成年後見人が死亡した場合、死亡した成年後見人による成年後見の任務は終了します。しかし、後見そのものは存続することに気を付けてください。
成年後見人が死亡した場合、家庭裁判所は被後見人などやその親族、あるいはその他の利害関係人の請求により新たな成年後見人を選任します。
また、家庭裁判所は、職権で成年後見人を選任することができます。
成年後見人が法人である場合、死亡に当たるのは法人の解散です。
成年後見人は正当な事由がある時は、家庭裁判所に辞任の許可の審判を申し立て、それが許可されれば辞任できます。
辞任における正当な事由とは、病気や高齢など身体的な不調や、遠隔地に引っ越したために職務の遂行に支障をきたすことです。
辞任したことによって新たに成年後見人を選任する必要がある場合、成年後見人は遅滞なく新たな成年後見人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。
成年後見人が職務を遂行するに当たって、著しい不正な行為を行うなど後見を任せることができない場合があります。
そのような場合、家庭裁判所は成年後見監督人、被後見人、親族、検察官の請求によるか又は職権で、成年後見人を解任することができます。
不正な行為については、被後見人の財産の横領などが挙げられます。
成年後見人の解任後、他に成年後見人がいなければ、成年後見人の辞任の場合と同様に申し立てまたは家庭裁判所の職権により新たな成年後見人を選任します。
成年後見人が欠格事由に該当することが発覚したときは、成年後見人としての地位を失います。
欠格事由は次のとおりです。
前述の理由で成年後見は終了しますが、成年後見人には次の事務処理の手続きが残っています。
成年後見人は被後見人の死亡を知った場合、「終了の登記」を申請しなければいけません。
「終了の登記」をしなくても、被後見人の死亡により後見は終了します。
その後、登記と実体のズレを合わせるために、成年後見人は「終了の登記」をする義務があります。
後見終了の登記は東京法務局に申請します。登記申請書と被後見人の死亡の事実が記載された戸籍謄抄本か死亡診断書の写しを添付します。
成年後見人の任務が終了したときは、2カ月以内に管理の計算をして財産目録を作成する必要があります。
管理の計算とは、成年後見人の就任開始から任務の終了までの期間に、後見事務の執行に関する全ての収入と支出を計算し、管理計算書と財産目録を作成することです。
後見就任期間中の財産の変動と現状を明らかにするのが目的です。
成年後見人は、残余財産の確定が2カ月以内に困難な場合、家庭裁判所にその期間の延長を申し立てることができます。
被後見人が死亡した場合、成年後見人は被後見人の相続人に対して財産を引き渡さなければなりません。
誰にどのように引き渡すのかは、相続人が1人か複数かにより異なります。
相続人が1人の場合はその相続人に引き渡します。
相続人が複数いる場合は、相続人全員に引き渡すのが原則ですが、通常は、相続人の間で代表を決めてもらい代表に引き渡します。
被後見人の死亡以外で後見が終了した場合は、後任の成年後見人に財産を引き渡します。
被後見人の死亡により後見は終了しますが、急迫の事情がある場合には、成年後見人は応急処分義務があります。
急迫の事情がある場合、被後見人の相続人などが処理できるようになるまでの間、成年後見人が処理をする必要があります。
急迫の事情とは後見事務の範囲であったもので、成年後見人が対処しなければ不測の損害が発生する恐れのあるものです。
応急処分義務に当たるかどうかは、ケースごとに個別に判断することになります。急迫の事情があることと相当性・妥当性があることが要件になっています。
成年後見人は被後見人の死亡などにより後見が終了した場合、家庭裁判所に後見終了までの後見事務の終了報告を行います。
報告する内容は、定期の報告と同様ですが「後見等事務報告書」「財産目録」「収支報告書」「預金通帳のコピー」などに加え、「後見の終了が記載された登記事項証明書」「財産の受領書」「引継報告書」も提出します。
報酬を受け取りたい場合は、終了報告と同時に報酬付与の申し立てをします。
ここでは成年後見制度の手続きに関するよくある質問に答えていきます。
いったん家庭裁判所に申立てが受理されると、取り下げるためには家庭裁判所の許可が必要です。
申立人が候補者としていったん推薦した方が、成年後見人に選任される見込みがなさそうだと思っても、その理由では原則として申立ての取り下げは認められません。
裁判所のホームページに以下の申立書の書式とともに記載例があります。
専門家に依頼せず自分で申立書などを記載する方は、記載にあたって不備のないようにするとともに、添付書類も全てそろえるよう気を付けましょう。
それぞれの裁判所によっては、申立時に別途他の指定された書類を提出しなければならないこともあります。事前に裁判所のホームページなどで確認するようにしましょう。
参考:裁判所「後見開始の申立書」
成年後見人選任の申立てを受け付けてから後見の開始までは、特に問題のない場合でも1~2カ月程度かかります。
さらに、成年後見人選任の申立てを行う前には申立準備期間として、必要書類の収集と申立書類の作成を行う必要があります。
必要書類の中には本人の戸籍謄本などが必要です。遠方からの取り寄せや何通も必要となることもあるので、時間に余裕を見ておいた方が良いでしょう。
他には申立て内容や裁判所での混雑状況などを勘案しておく必要があります。成年後見人選任の申立てから後見開始までの期間は、あくまで目安の期間と考えてください。
参考:東京家庭裁判所立川支部「成年後見申立ての手引」
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本記事では成年後見人を選任する手続きと流れを詳しく解説しました。成年後見人の職務内容は、財産管理や身上保護など多岐にわたります。成年後見人になれる人に特別な資格は不要なものの、職務が重責であるため信用できる方でなければなりません。
また、成年後見は利用開始後は途中でやめられません。手続き前には制度利用の必要性について、十分に検討する必要があります。
成年後見人の特性を理解し、制度の有効活用を行うために制度利用の必要性も含め専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
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