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口座管理法とは、一度に複数の金融機関で、マイナンバーと銀行口座との紐づけを預金者が申請できる制度です。マイナンバーと銀行口座との紐づけは、強制ではなく本人の自由意思です。
本記事では、口座管理法がどのような法律であるのかをはじめ、マイナンバーと銀行口座との紐づけについて解説します。記事を読むと、マイナンバーと銀行口座を紐づける注意点が分かるようになるでしょう。口座管理法に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
田中 総
(たなか そう)
司法書士
2010年、東証一部上場の不動産会社に新卒で入社し、10年以上に渡り法人営業・財務・経営企画・アセットマネジメント等の様々な業務に従事。
法人営業では遊休不動産の有効活用提案業務を担当。
経営企画では、新規事業の推進担当として、法人の立ち上げ、株主間調整、黒字化フォローの他、パートナー企業に出向して関係構築などの業務も経験。
司法書士資格を取得する中で家族信託の将来性を感じ、2021年6月ファミトラに入社。
田中 総
司法書士資格保有/家族信託コーディネーター/宅地建物取引士/不動産証券化協会認定マスター
東証一部上場のヒューリック株式会社 入社オフィスビルの開発、財務、法人営業、アセットマネジメント、新規事業推進、経営企画に従事。2021年、株式会社ファミトラ入社。面談実績50件以上。首都圏だけでなく全国のお客様の面談を対応。
マイナンバー制度に関連して新たに施行された法律は、次の2つです。
マイナンバーについては、個人情報の流出リスクなどが心配されていますが、以下で2つの法律の概要を見ていきましょう。
口座管理法とは、2024年4月に施行された、銀行にマイナンバーを届け出る法律です。法律の正式名称は「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」といいます。
預貯金者は、自身の複数の預金口座がマイナンバーにより管理されるのを希望する場合、本人が希望する旨の申し出が可能です。預貯金者には、マイナンバーを金融機関に告知する義務はないので注意しましょう。
金融機関は、口座開設などの重要な取引時には、預金者本人に上記の希望について確認しなければなりません。
マイナンバーを口座と紐づけたからといって、過度の心配は不要です。マイナンバーを利用することでできる照会は、行政機関などからの必要最低限の範囲に限られているためです。
また、マイナンバーの口座管理の他には、災害発生時・相続時に預金口座の情報提供を行う制度があります。
口座登録法とは、2024年4月に施行された法律で、預金口座を国に登録してマイナンバーと紐づけます。法律の正式名称は「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」といいます。
以下は、口座登録法でできる主なことです。
預金口座を国に登録してマイナンバーと紐づけたからといって、税金などを引き落とされる心配はありません。
なお、公金受取口座として登録できるのは、本人名義の口座で1人につき1つの口座だけです。親であっても、子どもの公金受取口座には親名義の口座を登録できません。
参考:デジタル庁「公金受取口座登録制度」
マイナンバーと銀行口座を紐づけるメリットは、主に次の3点です。
事務を行う自治体の手間が少ない上に、申請から口座への入金時期が早くなります。
口座を登録しておくと、各種給付金をはじめ、年金・児童手当・医療費控除などでの所得税の還付金をスムーズに受け取れます。
従来では給付金などを受け取るために申請書に口座情報を記入の上、通帳などの必要な添付書類をコピーして、郵便ポストに投函する手間がかかりました。口座情報の転記ミスなど書類の不備による再提出の可能性が低くなり、給付金や還付金の手続きが簡単になるのはメリットです。
マイナンバーと銀行口座を紐づけることで、行政機関などでも口座情報の確認が容易になり、口座への入金時期が早まります。給付金や還付金の受け取りが簡単になり、入金時期も早まる点はメリットといえるでしょう。
ケースによっては、プッシュ型と呼ばれる申請不要の給付金を受け取ることが可能です。
下記のような緊急時や経済状況の急変に対応する給付金があれば、公金受取口座での受け取りが可能で申請・給付がスムーズです。
災害発生時には、マイナンバーを利用すれば他の金融機関の預金口座についての照会も可能です。大きな災害が起これば人命が優先のため、金融機関で必要な預金通帳や通帳印を自宅に残して、避難することもあるでしょう。
預金者が避難している状況では、マイナンバーと複数の銀行口座を紐づけていれば1つの金融機関に足を運び、複数ある金融機関の名称を提示すれば預金口座の情報を求めることが可能です。(災害救助法に規定する適用区域に居住する場合に限る)
相続手続きの際、相続人からの照会に限り、被相続人名義の口座がどの金融機関にあるかが確認できるのはメリットです。
通常、相続発生時には、金融機関は相続財産を保全するために被相続人の口座を凍結してしまいます。
本人確認には相続人全員が合意した遺産分割協議書の作成が必要です。遺産分割協議書には、戸籍謄本や印鑑証明書などの添付書類の取得に手間がかかります。金融機関によっては、遺産分割協議書の様式が異なる場合もあるでしょう。
マイナンバーと銀行口座を紐づけておけば、相続人は金融機関窓口で被相続人である預金者の氏名・住所・生年月日などで本人確認をしてもらうことができます。本人確認後に被相続人名義の口座が、どの金融機関にあるかが確認できるのはメリットといえます。
マイナンバーと銀行口座を紐づける注意点としては、下記の3つが挙げられます。
リスクと必要な作業・手続きについて、事前に確認しておきましょう。
マイナンバーと銀行口座を紐づける注意点の1つは、紛失リスクや個人情報が流出する可能性があることです。マイナンバーカードを紛失すると個人情報が流出するものの、悪用しての手続きまでは行えません。
ただし、マイナポータルサイトの暗証番号を知られてしまうと、なりすましによる使用が可能です。マイナポータルサイトへログインされ、悪用される恐れがあります。
2023年のマイナポイント付与時には、地方自治体がマイナンバーカードを発行した際などに、給付金の受取口座を誤登録した問題も発生しています。個人情報とマイナンバーとを紐づけるときに、入力ミスが生じたケースが多く見られました。
政府による総点検では0.01%の誤登録が判明し、紛失リスクや個人情報が流出する可能性は否定できません。
マイナンバーと銀行口座の紐づけには登録作業が必要になることも注意点の1つです。
マイナンバーと銀行口座を紐づけるには「預金口座への付番」と「公金受取口座」の2つの登録作業が必要です。制度が異なるため、登録者は両方の作業をしなければなりません。
「預金口座への付番」をするには、金融機関窓口で行う必要がありますが、マイナポータルからの付番申請は2024年度末頃にシステム構築予定です。
「公金受取口座」の登録は、マイナポータルからでも可能です。金融機関の窓口などでの登録は、2024年度以降に開始予定です。
ただし「預金口座への付番」と「公金受取口座」の登録は、預金者の自由意志であることに注意しましょう。
参考:内閣府「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案概要」
参考:東京都台東区「公金受取口座の登録について」
給付金を受け取るには、紐づけ登録とは別に手続きが必要です。自動的に給付金が口座に振り込まれるわけではありません。
給付金を受け取るたびに申請手続きが必要なのは、マイナンバーと銀行口座を紐づける注意点の1つといえるでしょう。
中にはプッシュ型のように、マイナンバーと銀行口座を紐づけておけば受け取れる給付金もあります。
給付金の申請書が届いた際、給付金を受け取る方は説明通りに必要事項を記載します。給付金が不要な方は「チェックマークを入れてほしい」旨の記載があるので、ご自身の必要に応じて返信しましょう。
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口座管理法に関する不正確な情報には注意が必要です。根拠もない情報が、SNS上で拡散されることがあります。
旧ツイッターのXなどでは「マイナンバー口座ひも付けによる財産没収?」「マイナンバーで全口座が強制的にひも付けされる」などの根拠のないものが、紐づけミスのニュースとともに大量に投稿されていました。
口座管理法に関しての不正確な情報が発信されていたので、十分に注意しましょう。
マイナンバーを口座と紐づけても、マイナンバーを利用することでできる照会は、行政機関などの必要最低限の範囲であることを再度確認しておきましょう。
マイナンバーと預貯金口座との紐づけは強制ではないため、将来的にも義務化は考えにくいといえるでしょう。
口座管理法第3条第1項には、預貯金者が「金融機関が個人番号を利用して管理することを希望する場合」と限定し、申出制を採用しているからです。
「預金口座への付番」をする方法は、次の2つがあります。
マイナポータルからの付番申請は、2024年度末頃にシステムを構築予定です。いずれの方法でもマイナンバーと預貯金口座との紐づけは、本人の意思により行います。
マイナンバーと預貯金口座との紐づけは義務化される可能性がないとはいえないものの、過度に心配することはありません。
マイナンバーの利用によって可能な照会は、行政機関などの必要最低限の範囲に限定されているからです。
口座管理法やマイナンバーに関する質問を4つ挙げて回答していきます。心配や不信感などを解決しましょう。
マイナンバーカードには、口座情報が登録されることがないため、口座情報を悪用される心配は不要です。ただし、マイナンバーカードに記載されている個人情報が第三者に知られてしまう可能性はあります。
マイナポータルのパスワードを知られると、悪意ある第三者により各種手続きを行われる可能性が高まります。
マイナンバーカードを紛失したら、すぐに一時利用停止を求めるか、緊急性によっては警察署に相談するようにしましょう。
政府が個人である預金者の口座情報を確認できるケースは、法令に基づいて必要とされる社会保障の資力調査や税務調査などに限定されています。
上記の調査では、マイナンバーを利用して本人の預貯金口座の特定や確認を行う可能性があるでしょう。
法令で規定された調査以外では、預貯金口座を紐づけることで資産や収入状況を政府に知られることはありません。
マイナンバーと口座の紐づけによる個人情報の流出リスクの発生は否定できないものの、過度の心配は不要といえるでしょう。
「公金受取口座」の登録と「預金口座への付番」とは、異なる制度です。公金受取口座の登録を理由として、マイナンバーと紐づけた預金口座への付番が勝手に行われることはありません。
預金口座への付番が行われるためには、預金者本人の同意が必要なためです。
公金受取口座の登録制度は、給付金などの受取口座として国に登録する制度です。
預金口座付番制度とは、預金口座とマイナンバーとを紐づけて預金口座がマイナンバーによって管理されるのを希望する場合、金融機関に申し出ができる制度です。
いずれの制度も本人の同意があることが前提です。
すでに保有している預貯金口座では、金融機関窓口でマイナンバーと預貯金口座との紐づけを行えます。
マイナポータルから付番申請を行うには、2024年度末頃に予定されているシステム構築を待たなければなりません。
いずれの方法でも、マイナンバーと預貯金口座との紐づけは、本人の自由意思により行います。
マイナンバーと預貯金口座との紐づけの際に、必要なものは下表の通りです。
金融機関窓口で行う場合 | 本人確認書類 本人のマイナンバーを確認できる書類 別途金融機関が指定するもの |
---|---|
マイナポータルで行う場合 | 本人のマイナンバーカード マイナポータルにアクセスできるスマートフォンなどの端末 パソコンで行う場合はICカードリーダライタ(マイナポータルに記載されているもの) |
いずれの場合でも、必要なものは事前に確認しておきましょう。
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マイナンバーと銀行口座の紐づけには、預金者本人の同意が必要です。
マイナンバーと銀行口座を紐づけるメリットとしては、給付金・還付金の手続きや受け取りが簡単なことや、入金時期が早くなることなどが挙げられます。また、緊急時や災害時でも迅速に給付金を受け取ることが可能です。
紐づける注意点としては、紛失リスクや個人情報の流出リスクがあり、紐づけに際して登録作業が必要になることです。
マイナンバーと銀行口座を紐づけると、親の万が一の事態に備えて、相続の際に被相続人の親名義の口座がどの金融機関にあるかが確認できます。
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