保険契約者代理請求人制度とは?被保険者以外が契約できる?詳しく解説

保険契約者代理請求人制度とは

「保険契約者代理請求人制度」がどのような制度かご存じですか?

保険契約者代理請求人制度は、保険の契約者が認知症やがんなどになった際に活用できる制度です。
本記事では、保険契約者代理請求人制度の内容や利用するメリット・デメリットについて解説します。

もしもの場合の備えとして、保険契約者代理請求人制度を利用しようか検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

保険契約者代理請求人制度とは?

相談

保険契約者代理請求人制度とは、被保険者による住所変更、解約などの手続きや保険金の請求などを、事前に指定された保険契約者代理請求人が代理で請求できる制度です。

保険契約者代理請求人制度を利用するには、保険契約者代理請求人制度に関する特則をあらかじめ付けておく必要があります。

保険契約者代理請求人制度が利用できるのは、各保険会社が設定する「特別な事情がある場合」のみであり、どのような場合でも利用できるわけではありません。

例えば、第一生命では「特別な事情がある場合」について、以下のように規定されています。

  1. 契約者の戸籍上の配偶者
  2. 契約者の直系血族または3親等内の血族
  3. 契約者と同居しまたは生計を一にしている契約者の3親等内の親族
  4. (3)以外で契約者と同居しまたは生計を一にしている方で、当社が認めた方
  5. 契約者の財産管理を行っている方で、当社が認めた方
  6. (4)または(5)と同等の特別な事情があると当社が認めた方
引用:保険契約者代理特約|第一生命保険株式会社

また、詳細は後述しますが、保険契約者代理請求人になれる人も契約者の配偶者や直系血族などの一部の人に限定されています。

制度の詳細は、各保険会社によって異なるため、利用する際は各社のホームページをご確認ください。

保険契約者代理請求人制度が活用されるケース

説明

保険契約者代理請求人制度が活用されるのは、次のようなケースです。

  • 契約者の高齢化
  • 契約者が自身の病名を知らされていない

それぞれのケースについて、以下で見ていきましょう。

契約者の高齢化

保険契約者代理請求人制度は、契約者が高齢化した際に活用されることがあります。

保険契約者代理請求人制度では、契約者の意思表示が困難になった場合などに、代理人が保険金を請求したり契約に関する手続きをしたりできます。

しかし、保険契約者代理請求人制度を利用するための手続きは、契約者の意思表示が困難になる前にしておかなければなりません。

そのため、契約者が将来的に認知症になりそうなどと考えるようになったら、保険契約者代理請求人制度の活用を検討してみると良いでしょう。

契約者が自身の病名を知らされていない

一般的に、契約者ががんなどの病気にかかった場合、契約者自身が保険金などの請求ができます。
しかし、親族の配慮などから契約者自身に病名が知らされていないケースでは、契約者自身は保険金などの請求ができません。

保険契約者代理請求人制度を利用することで、代理人による保険金などの請求が可能です。

保険契約者代理請求人制度の選出方法

受付

保険契約者代理請求人制度で、保険契約者代理請求人を選出する方法について解説します。

保険契約者代理請求人を選出するには、以下の2つのステップがあります。

STEP
契約者が代理人を指定する
STEP
保険会社に必要書類を提出する

それぞれのステップですべきことや代理人選出におけるルールなどについて確認していきましょう。

STEP

契約者が代理人を指定する

保険契約者代理請求人制度では、契約者自身が代理人を指定します。

代理人に指定できるのは、契約者の配偶者や直系血族などであり、各保険会社によって細かいルールが設定されています。

代理人の指定で注意すべき点は、意思能力の低下など、契約者が契約に関する手続きができなくなる前に、あらかじめ代理人を指定しておくことです。

契約者の意思能力が低下した状態では代理人を指定できなくなり、保険契約者代理請求人制度が利用できなくなるため、必ず事前に確認しておきましょう。

代理人に指定できる範囲の一例

ここでは、代理人に指定できる範囲の一例として、ソニー生命と日本生命の規約を紹介します。

ソニー生命では、代理人に指定できる人の範囲を以下のように定めています。

  • 契約者の配偶者
  • 契約者の直系血族
  • 契約者の兄弟姉妹
  • 契約者の3親等内の親族
  • 契約者の上記以外の民法上の親族
  • 上記のほか、当社が認めた方

参考:「保険契約者代理請求人制度」、「指定代理請求人制度」のご案内|ソニー生命

続いて、日本生命の規約における代理人に指定できる人の範囲を見てみましょう。

まず、契約者と以下の関係にある人が代理人として指定できます。

  1. 戸籍上の配偶者
  2. 直系血族
  3. 兄弟姉妹
  4. 同居または生計を一にしている契約者の3親等内の親族

また、①〜④のほか、契約者と以下の関係にある人のうち、日本生命により認められた人も代理人として指定可能です。

  1. 同居または生計を一にしている人
  2. 財産管理を行っている人
  3. 死亡保険金受取人
  4. その他前⑤から⑦と同等の関係にある人

参考:日本生命の「契約者代理制度」のご案内|日本生命

特約が付加されていないケースについて

保険契約者代理請求人制度を利用する場合、各保険会社との契約における保険契約者代理請求人制度に関する特約の付加が必要です。

もし特約が付加されていない場合、保険契約者代理請求人制度は利用できません。

必ず、事前に保険会社との契約の中で、保険契約者代理請求人制度に関する特約を付加する必要がある点に注意しましょう。

STEP

保険会社に必要書類を提出する

実際に保険契約者代理請求人制度を利用するタイミングになったときには、保険契約者代理請求人が保険会社に連絡し、必要書類を送ってもらうことが一般的な流れです。

その後、保険契約者代理請求人が必要書類への記入を済ませ、保険会社に提出します。

提出した書類に不備がなければ、保険会社への請求が認められ、保険金などの支払いや契約内容の変更手続きなどが実行されます。

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保険契約者代理請求人制度のメリット

説明

保険契約者代理請求人制度を利用するメリットとして、主に次の2つが挙げられます。

  • 手続きがスムーズに行える
  • 家族にお金の心配をかけずに済む

それぞれのメリットについて、以下で見ていきましょう。

手続きがスムーズに行える

もし保険契約者代理請求人を指定していない場合、契約者が認知症などにより保険金などの請求ができなくなってしまうと、成年後見制度を利用して手続きを進めなければなりません。

成年後見制度を申し立て、後見人が事務手続きを代理できるようになるには、1カ月から半年近くの期間がかかってしまいます。

申し立てるための書類を集めるのに多くの時間がかかる上、成年後見制度を申し立てると簡単に取り下げができないことから慎重に打ち合わせを行うため、多くの期間がかかってしまうのです。

一方、保険契約者代理請求人を指定していればスムーズに手続きができるため、比較的短期間で保険金などの受け取りができます。

家族にお金の心配をかけずに済む

本人の意思能力が低下してしまうと、本人の預金口座からお金を引き出すことが難しくなります。
事前に対策していなければ、先ほどと同様、成年後見制度を利用して後見人が引き出せるようにしなければなりません。

しかし、成年後見制度により手続きを代理できるようになるには多くの時間を要するため、入院や施設への入居に際し多額の現金が必要になった際、家族が立て替える必要があります。

一方、保険契約者代理請求人を指定していればスムーズに保険金を受け取れるため、すぐに現金を用意でき、家族にお金の心配をかけずに済むでしょう。

保険契約者代理請求人制度の留意点やデメリット

ヒアリング

保険契約者代理請求人制度の留意点やデメリットとして、次の4つが挙げられます。

  • 契約者が知らないうちに契約がなくなってしまうケースがある
  • 本人に隠していた病名や余命が分かってしまう可能性がある
  • 契約者と代理人の信頼関係によってはもめるケースもある
  • 保険会社の規定をしっかりと確認する

それぞれの点について、以下で見ていきましょう。

契約者が知らないうちに契約がなくなってしまうケースがある

保険契約者代理請求人制度を利用すると、契約者が知らないうちに契約がなくなってしまうケースがあります。

例えば、契約者が入院や施設への入所のために多額の費用が必要となり、生命保険の解約を検討している場面について考えてみましょう。

契約者が認知症などで意思表示ができなくなった場合、保険契約者代理請求人制度を利用することで生命保険の解約が可能です。

このように、代理人が生命保険の解約手続きをすることで、契約者が知らないうちに契約がなくなってしまうケースがあります。

本人に隠していた病名や余命が分かってしまう可能性がある

契約者ががんなどの病気にかかってしまった場合、本人に病名を隠すケースもあるでしょう。
その場合、本人に代わって保険契約者代理請求人が保険金などの請求をすることが可能です。

しかし、保険金を支払うなどして契約が終了したり契約が変更されたりしたことを契約者が知った場合、病名や余命などを察知する可能性があります。

そのため、場合によっては病名や余命を隠し続けることができなくなる可能性があるでしょう。

契約者と代理人の信頼関係によってはもめるケースもある

契約者と代理人の信頼関係によっては、もめてしまうケースもあります。
代理人が契約者に代わって受け取った保険金を本来の目的とは異なるものに使ってしまう可能性があります。

契約者と代理人の信頼関係がきちんと構築されていれば、代理人の好き勝手に保険金が使われることはないでしょう。

しかし、「息子だから」「兄弟だから」などの理由で信頼関係が構築できていない人を代理人として指定すると、保険金を使い込まれる可能性があります。

そのため、代理人は、信頼関係が築けている人を指定するようにしましょう。

保険会社の規定をしっかりと確認する

保険契約者代理請求人制度を利用する際には、保険会社の規定をしっかりと確認することが大切です。

保険契約者代理請求人制度とひと言でいっても、保険会社ごとの規定は異なります。
代理人に指定できる人の範囲や請求できる保険金の種類、代理人による請求方法など、さまざまな点が違うことがあります。

どの保険会社にするか決める際や保険会社との契約を行う前、さらには契約を行った後も、その都度契約内容を確認しておくと良いでしょう。

保険契約者代理請求人制度を利用する際に共有しておきたいこと

保険の資料

保険契約者代理請求人制度を利用する際に、契約者本人から代理人に共有しておきたいことは、以下の2つです。

  • 保険に加入していること
  • 保険証券を保管している場所

保険に加入していることはもちろん、保険証券を保管している場所も共有しておくと良いでしょう。

保険証券には補償内容や保険料など契約に関する具体的な内容が記されており、契約内容の変更や解約、保険金を受け取るときなどに必要です。

保険証券がないと代理人による手続きができなくなる恐れがあるため、必ず伝えておくようにしましょう。

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まとめ

紹介

保険契約者代理請求人制度は、特別な事情があるときにのみ、事前に指定された代理人が契約者本人に代わって保険金などの請求ができる制度のことです。

契約者が高齢になっている場合や病気・障がいを患っている場合などに活用されることが多くあります。

保険契約者代理請求人制度を利用することで、保険金などの請求手続きがスムーズにできたり家族にお金の心配をかけずに済んだりといったメリットがあります。

しかし、契約者が知らないうちに契約がなくなってしまうケースがあったり、本人に隠していた病名や余命が分かってしまう可能性があったりと、デメリットに注意が必要です。

ぜひ保険契約者代理請求人制度を利用して、万が一の場合があった際に、保険金などの請求がスムーズにできるように準備しておきましょう。

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この記事を書いた人

ファミトラは「人生100年時代のコンシェルジュ」として、認知症による資産凍結だけでなく、家族の老後にまつわるさまざまな課題解決に伴走しています。介護や相続の他、遺言や任意後見・成年後見制度、生前贈与といったこれまでの対策に加わるかたちで、「家族信託」のサービスをあたりまえにすることを目指しています。

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